味付
【東京雑学研究会編】
【雑学大全】 生活 > 食べ物
地方ごとに、好まれる味は違うものだが、おおざっぱに言って、関東では濃い味が、関西では薄い味が好まれる。使われるしょう油も、関東では濃口しょう油で、関西は薄口しょう油である。
これほど交通が発達し、東西の行き来が盛んになった昨今でも、好みの違いはそのままである。
そもそも、京都を中心とする関西文化圏には、都会のインテリが食べるものは薄味だと考える風潮がある。
関東人は、肉体労働が中心の田舎者なので、汗を流す。そのため、塩分を多く摂らなければならない。それに比べて、都には頭脳労働者が多く、塩分をあまり摂らないので料理も薄味だというのである。
事の是非はともかく、人間は、汗を大量にかいた後は、ふだんよりも塩分を摂りたくなる。飲食店では、夏期には料理の味付けをやや濃いめにするというし、スポーツ選手の合宿所は、一年中味付けが濃いという。
室町時代の料理の名人、坪内石斎のこんなエピソードが残されている。
尾張から上洛してきた織田信長が、石斎の料理を食べたところ、まずいと言って怒り出した。腕に自信のあった石斎は驚いたが、今度は塩味も甘味もきかせて、濃い味付けにして出したところ、信長を満足させることができた。上機嫌になった信長を前に、石斎は心の中で、「やはり田舎者よ」とつぶやいていたという。
京都から見ると、尾張も東国である。昔は、関西から東に行くことを、「東下り」と言うほど田舎だとされていた。
『古今集』『伊勢物語』には、帝の后となるべき女性と密通をした在原業平が、都にいられなくなって東国へ旅する悲しみが切々と述べられている。
今でこそ、日本の首都として繁栄している東京だが、かつては関西の文化が日本をリードしていた。そんな思いが、「薄味=インテリ好み」という説になったのだろう。
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「雑学大全」東京雑学研究会 |
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