元
【げん】
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中華人民共和国の通貨。人民元、RMBとも。同国樹立(1949年)前年の12月、中国人民銀行設立と共に発行が開始され、1955年のデノミネーション(旧1万元→新1元)を経て今日に至っている。現在発行されている通貨は、100元~1分の紙幣12種類と、1元~1分の硬貨6種類(1元=10角=100分)。日本国内での両替はできず、中国国内からも2万元までしか持ち出すことはできない。
元は当初、国家機関によって決定される公定為替レートに基づいて取引されていたが、1994年に銀行間外貨市場が創設されたのを受け、大幅な通貨切り下げ(1米ドル=5.81元→8.7元)と合わせて外貨市場レートに一本化された。しかし制限された市場で市場メカニズムが働く余地はなく、その後元レートの変動幅は徐々に狭められ固定されていった。現在も1米ドル=約8.27元で米ドルにペッグした固定相場制度が堅持されている。(上述した外貨持ち出し制限と中国人民銀行の為替介入によって固定相場が維持されているのだ)。
その間に中国は市場改革を推し進め、GDP世界第6位の経済大国に躍進。米国の貿易赤字の内訳を見ても対日貿易赤字を追い越して対中貿易赤字が首位を占めるまでに急成長を遂げた。そのため、「人民元は過小評価されている。これを是正するために元の変動幅を拡大する(あるいは元を切り上げる)べきだ」という声が米国を中心に高まってきている。
確かに、現在の「元安・ドル高」を「元高・ドル安」に切り上げれば、中国から輸入する産品の米国内価格は上がり、短期的には米国内の産業保護につながるだろう。だが米中の貿易不均衡は、中国の物価や米国民の旺盛な消費等々といった経済構造に裏打ちされている。そのため元のレートを切り上げても米国の抱える貿易赤字は解消されないのではないかとの見方も根強い。
日本でもユニクロや100円ショップなど中国との物価差を利用した商売が多くの消費者の心をつかんでいるが、もし元が切り上げられれば、こうしたビジネスモデルを継続していくことは困難になるだろう。日本の消費者利益という観点からも、元切り上げの是非を問う声が高まりそうだ。
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