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何かをまかされることが「生きがい」につながる
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60歳からの人生を愉しむ心理学第6章 老いたときに後悔しない生 >

ランガーは、老人ホームに入所している六五歳から九〇歳の高齢者を無作為に二つのグループに分け、次のような研究を行ないました。
第一のグループには「何か不満なことがあったら、それを変えるのはあなた自身の責任です」と責任感を与え、「自分の環境は自分でコントロールできる」という信念を持てるように指導しました。
たとえば、日常生活の過ごし方について、植物の世話や部屋の掃除などいくつかの選択肢から自由に選べるようにして、選んだことに関して責任を持って取り組めるようにしました。
第二のグループには「何か不満なことがあったら、看護師さんに知らせてください」と、生活上の責任を他人にまかせるように指導しました。つまり、自分の環境は自分でコントロールできない、と教えたのです。
このような生活を続けて三週間経ったところ、第一グループの人たちは幸福な生活を送っており、積極的に行動をしていました。一年半後の調査でも同じ結果で、老衰の進行も少なく、死亡率は第二グループの約半分でした。一方、第二グループは抑うつ的な気分で、無気力になることがわかりました。
この研究結果は、高齢者に限らずどの年代にも言えることではないでしょうか。仕事でも、自発的にアイデアを出して改善し、自分の責任で判断してコントロールができるときは、やる気が湧いてきます。
すべて上司から与えられた業務で、何をやっても上司が口を出してきて、すべて上司の言われた通りにやるだけだったら、まったくやる気が起こりません。無気力、うつ状態に陥る危険性があります。
一方、隅から隅までこと細かに口を出して部下を無気力に陥らせるワンマン上司ほど元気いっぱいで積極的。あなたの周りにもいるのではないでしょうか。
「人まかせ」は一見、楽なようですが、人間にとって幸せな状態とは言えないようです。自分の力で改善していける。自分の力が役立つことがある。小さくてもそんな場所を持つことは、何歳になっても生きがい、やりがいにつながるのです。


日本実業出版社
「60歳からの人生を愉しむ心理学」
JLogosID : 14820744


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【辞典内Top3】

人生の前半戦に強い人、後半戦に強い人  「新奇性」があると、年をとっても軽やかな人になる  フラストレーション耐性の高い人ほど老後を愉しめる  

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【この辞典の書籍版説明】

「60歳からの人生を愉しむ心理学」渋谷昌三(目白大学教授)

多くの人が60歳からの「人生の後半戦」「定年後」に対して、ネガティブなイメージを抱きがちです。本書では「老い」に無理に抵抗することなく、「豊かに」「軽やかに」「上手に」愉しみながら年を重ねていくコツを心理学的なアプローチを中心に紹介します。

出版社: 60歳からの人生を愉しむ心理学[link]
編集: 渋谷昌三(目白大学教授)
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