プラチナバンド
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【雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2】 インフラに見るモノの技術 >
2012年、ソフトバンクは900メガヘルツ周波数帯の電波を用いた携帯電話サービスを「プラチナバンド」と呼び、その優位性を大々的に宣伝した。プラチナという言葉の響きは何かすばらしいものを予感させるが、いったい何が優れているのだろうか。これを理解するためには、情報を電波に載せるしくみから説明しなければならない。ラジオやテレビでも同じだが、音声や映像、データなどの情報は変調という操作をして搬送波(はんそうは)と呼ばれる電波に載せられる。要するに、情報を荷物ととらえるなら、梱包(こんぽう)(つまり変調)してトラックで運ぶ(つまり搬送波に載せる)ようなものだ。搬送波の周波数は国によって決められている。例えば、地上波テレビ放送ならば、470~710メガヘルツの搬送波が利用される。おもしろいことに、搬送波は周波数によって性質が異なる。周波数が大きい(波長が短い)と、電波は直線的に進み、減衰(げんすい)しやすい。つまり、遠くに飛ばず、建物の陰(かげ)にはまわり込めない。逆に周波数が低い(波長が長い)とアンテナが長くなり、受信しにくくなる。周波数が高くても低くても、問題があるわけだ。携帯電話にとって送受信に最適な周波数は、700~900メガヘルツくらいの電波である。この中の900メガヘルツ前後を用いた携帯電話サービスを、ソフトバンクはプラチナバンドと呼んだのだ。現在は電波の利用がパンク寸前だという。どの携帯電話会社も700~900メガヘルツ帯の電波を利用したい。そこで総務省は、大規模な利用電波の整理統合を行なっている。例えば、デジタル化で空いたUHF用テレビの710~770メガヘルツの電波を携帯電話会社の利用に供している。アナログテレビが利用していた周波数帯は、例えばドコモの関連会社が提供している携帯用放送NOTTV(ノッティーヴィー)などに利用されている。移動通信と放送を組み合わせた、従来にないコンテンツの搬送波として用いられようとしているのだ。
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【この辞典の書籍版説明】
「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2」涌井良幸・涌井貞美 |
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