自動販売機
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【雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2】 インフラに見るモノの技術 >
自動販売機(略して自販機)の歴史は古い。世界でいちばん古い自販機は、2000年以上昔に遡(さかのぼ)るという。コインを投入すると水が出てくる装置で、エジプトの寺院に置かれていたそうだ。そして今、自販機だけのコンビニエンスストアがあるほど、その普及には目を見張るものがある。飲料や食物だけでなく、花や下着など、実にさまざまなモノが売られている。海外ではそれほど目立たない自販機だが、普及台数だけ見ると日本はアメリカ、ヨーロッパよりも少ない。海外で目立たないのは、露出度が低いからだ。海外ではビルの中など、防犯対策が施(ほどこ)せる場所に設置されていることが多いため、日本ほどは目立たない。自販機の普及の裏では、さまざまな努力がなされている。例えば、省エネの工夫が挙げられる。この20年間で電力消費量は7割以上削減された。照明をLEDにし、センサーを備えて照度を調整。さらには、取り出し口付近だけを冷却、加温し、すぐに売れるものだけを温め、冷やしている。最近、エコベンダーと呼ばれる自販機をよく目にする。これは「ピークシフト」機能を搭載した自販機だ。電気がもっとも使われる夏場の午後には冷却運転を停止し、その前にしっかり飲食物を冷却しておく機能が備えられているのだ。こうすることで、発電所の負担を軽減することができる。おもしろいことに、一つの自販機で暖かいものと冷たいものを同時に売る機能があるのは日本固有だという。狭いスペースを有効利用し、冷却の排熱をムダにしない「もったいない」を心がける日本人の特性が現れている。ところで、自販機の正面に、設置場所を示すステッカーが貼られているのをご存じだろうか。これは、2005年(平成17)から始められたサービスだ。災害時などに、すぐに居場所がわかり心強い。また、災害時には中の飲料等を無料で提供する機能が付いているものもある。自販機はインフラ的な存在でもあるのだ。
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【この辞典の書籍版説明】
「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2」涌井良幸・涌井貞美 |
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大好評を得た既刊『身のまわりのモノの技術』の待望の続編! 「日頃よく使っているモノ」あるいは「意識しなかったけど、じつは身近にあるモノ」などに活かされている“技術・しくみ"について、豊富な図版をまじえながらシンプルに解説する本。 モノの技術やしくみが少しでもわかると、そのモノへの愛着と興味が増し、何気なく手にしたり触れたりするモノが、より身近になります。 本書を通じて、「科学技術の結晶」たちのスゴ技を、とくと堪能してください! |
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雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2[link] |