火力発電所
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【雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2】 インフラに見るモノの技術 >
日本のエネルギー(石油や天然ガスなど)の輸入額は年々増加している。貿易赤字も問題になる中、火力発電所の発電効率が高くなっているという明るい話題もある。本題に入る前に、発電法のおさらいをしておこう。現在の主要な発電法は火力、水力、原子力の三つだが、これらは「発電機を回して発電する」という点では同じだ。発電機のしくみはおもちゃのモーターと同様で、軸を回すと電気が起こるという原理を利用している。軸を回すのに、蒸気を使うのが火力・原子力発電であり、水流を使うのが水力発電である。最近の火力発電は、蒸気の代わりに高温ガスも利用する。これをガスタービン発電という。基本的にはジェットエンジンと同じ構造で、高温に燃焼したガスをタービンに吹きかけて回転させる。ガスタービン発電は発電効率がいい。例えば、2009年稼働(かどう)の東京電力川崎発電所の発電機は、59パーセントの変換効率をうたっている。この川崎のガスタービン発電機は、LNG(液化天然ガス)を燃料としたコンバインドサイクル発電の一種。ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせて発電する。高熱ガスでガスタービンを回し、排熱で蒸気を起こして蒸気タービンを回す二段構えの発電法だ。20年ほど前の火力発電の効率は40パーセント程度だったが、現在は60パーセント近くに高まっている。つまり、エネルギー消費量が3分の2に減った計算になる。世界の火力発電の効率は、現在でも40パーセントを割っているという。もし、先のような発電機を全世界に広めたなら、二酸化炭素排出の削減に大いに寄与するだろう。高発電効率を可能にしたのは高温ガスでタービンを回す技術だ。高温であればあるほど発電効率は上がるが、タービンの材料が融(と)けてしまう危険がある。そこで、ジェット機やロケットのエンジン技術を転用し、セラミックなどの新素材を採用することで、高温発電を可能にしたのである。
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【この辞典の書籍版説明】
「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2」涌井良幸・涌井貞美 |
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