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【雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2】 実用アイテムに見るモノの技術 >
周知のように、現在のアナログレコード盤(略してレコード)のしくみはエジソンの発明した蓄音機に由来する。錫箔(すずはく)を貼った銅製の円筒表面に音を記録・再生する装置だ。エジソンはこれをフォノグラフと呼んだ。この蓄音機はメガホンのような集音器で音の振動を針で拾い、針の動きで錫箔に凹凸(おうとつ)を作る。この凹凸模様が音声の記録になるのだ。再生は逆の操作をする。発明当時、蓄音機はたいへんな評判を呼び、一目見ようと研究所に押しかけてくる人のため、鉄道会社が特別列車を用意したほどだったという。現在ある、盤上に音を記録するレコードの方式を発明したのは、エジソンより少し若いアメリカ人ベルリナーである。エジソンは音の記録に円筒を用いたが、ベルリナーは今のような円盤を利用した。また、エジソンは溝の深さの方向(縦方向)に音を記録したのに対して、ベルリナーは溝の左右の方向(横方向)に音を記録した。ベルリナーの方式は音飛びに強く、複製も簡単なのでエジソンの蓄音機を次第に駆逐(くちく)していったのである。レコードの再生にはレコード針が利用される。では、1本の針でどうやってステレオ再生ができるのだろうか。結論からいうと、左右の傾斜角が45度になるよう溝を掘り、左右の斜面に左のマイクの音と右のマイクの音とを別々に記録しているのだ。それを針が読み取るのである。針のカートリッジには溝の凹凸からの振動を電気に変える装置が取り付けられており、多くは水晶の圧電効果を利用している。クォーツ時計でよく知られているように、「圧力を電気に変える」という性質が圧電効果だが、溝の情報を読み取った針の圧力変化をこの効果で電気に変えるのだ。ベルリナーの発明した蓄音機のしくみは、現代のCDやDVD、BDに生かされている。針がレーザーに、ディスクの素材のビニールがポリカーボネートに、アナログがデジタルに変わったが、そのしくみは不変だ。
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【この辞典の書籍版説明】
「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2」涌井良幸・涌井貞美 |
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大好評を得た既刊『身のまわりのモノの技術』の待望の続編! 「日頃よく使っているモノ」あるいは「意識しなかったけど、じつは身近にあるモノ」などに活かされている“技術・しくみ"について、豊富な図版をまじえながらシンプルに解説する本。 モノの技術やしくみが少しでもわかると、そのモノへの愛着と興味が増し、何気なく手にしたり触れたりするモノが、より身近になります。 本書を通じて、「科学技術の結晶」たちのスゴ技を、とくと堪能してください! |
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雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2[link] |