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ヨット
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雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2乗り物に見るモノの技術 >

大海原を航海するヨットの雄姿はロマンをかき立てる。風に大きな帆(ほ)をふくらませて走るその姿に、古来(こらい)多くの人が虜(とりこ)になった。そんなヨットは、ディンギーとクルーザーに大別される。ディンギーはキャビン(船室)のない小型のヨットで、1~2人で操るのが一般的。近海でマリンレジャーを楽しむのに向いている。一方、クルーザーにはキャビンがあり、寝泊まりできる設備が付いていて、遠洋で航海を楽しむのに向いている。ところで、ヨットは、風が吹いてさえいれば目的地に船を進められる。逆風に向かってでも進めるのだ。考えてみると不思議である。その原理を調べるために、まず帆が風から受ける力を見てみよう。帆が風から受ける力を簡単に理解するには、風が空気の分子の集まりと考え、その分子をテニスボールに見立てるといい。どのように風が帆にぶつかっても、帆が風から受ける力は帆の面に垂直になることが見て取れる。このことを念頭に置けば、風に対してどのような角度に帆を張ればいいか理解できる。追い風(つまり順風)のときには、舳先(へさき)を目的方向に向け、帆を風向きに直角に張ればよい。横風のときにも、舳先を目的方向に向けるが、帆は後ろに回して風向きの斜め45度の角度にする。こうすれば、舳先の方向の力が得られるからだ。問題は向かい風(逆風)の場合である。このときは、舳先を目的方向の斜め前に向け、帆を後ろに回し、舳先の方向の力が得られるようにする。しかし、そのままでは目的地から斜めに遠ざかってしまうので、例えばタッキングという技法でジグザグ走法し、目的地に向かうようにするのだ。実際の風は複雑であり、以上のような単純なものではない。そこがヨットのおもしろいところでもある。自分の操縦(そうじゅう)するヨットの特性と風の性質を上手に利用することで、ヨットはすばらしい水上の〝芸術品〟になるのだ。


中経出版
「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2」
JLogosID : 14820744


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【この辞典の書籍版説明】

「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2」涌井良幸・涌井貞美

大好評を得た既刊『身のまわりのモノの技術』の待望の続編! 「日頃よく使っているモノ」あるいは「意識しなかったけど、じつは身近にあるモノ」などに活かされている“技術・しくみ"について、豊富な図版をまじえながらシンプルに解説する本。 モノの技術やしくみが少しでもわかると、そのモノへの愛着と興味が増し、何気なく手にしたり触れたりするモノが、より身近になります。 本書を通じて、「科学技術の結晶」たちのスゴ技を、とくと堪能してください!

出版社: 雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2[link]
編集: 涌井良幸・涌井貞美
価格:648円+税
収録数:
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発売日:
ISBN: 978-4806148029