自転車
【じてんしゃ】
【道と路がわかる事典】 7章 乗り物についての豆知識 >
自転車は人間の足の力をエネルギーとして走るもので、動力で走る自動車より原始的な乗物だといえよう。従って、常識的に考えれば、自動車より自転車の方が早くこの世に誕生していてもよさそうである。ところが、自転車は自動車よりも四〇年以上遅い一八一三年の発明である。ドイツのドライスが考案した木製の自転車がそれで、足で蹴って走る極めて原始的なものであった。
ペダル式の自転車は一八三九年、イギリスのマクミランによって考案された。この頃の自転車は、サドルにスプリングがついていなかったため、振動がモロに体に伝わり、ボーンシェーカー(骨ゆすり)といわれた。その後、後輪駆動から前輪駆動になったり、速度を高めるために後輪を小さく、前輪を大きくするなど、改良に改良が重ねられた。
前輪と後輪の大きさが同じで、後輪チェーン駆動の、現在の自転車の原型になっている自転車は一八八五年、イギリスのスターリーによってつくられた。イギリスのダンロップによって空気入りのタイヤが発明されると、乗り心地が一層よくなり、自転車産業は著しい発展をみせた。
日本に自転車が輸入されたのは一八七〇(明治三)年、アメリカ製のオーディナリ型自転車(だるま自転車)であった。やがて日本でも自転車が製造されるようになったが、品質に勝る輸入車に押されて、あまり売れなかったという。
いずれにしても、当時の自転車は超高級な贅沢品で、庶民には手の届かぬ乗物であった。しかし高級品であった自転車も、低価格化によって急速に普及。やがて一人一台の時代といわれるほどにまで増加した。そのため、自転車を伴う交通事故は多発し、駅周辺の無秩序な駐車、放置自転車など、新たな問題が発生している。
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【この辞典の書籍版説明】
「道と路がわかる事典」浅井 建爾 |
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道を切り口に日本を旅する楽しみに出会う本。身の回りの生活道路の不思議から、古道の歴史、国道や高速道路、橋やトンネル、乗り物まで道と路に関する知識が満載。 |
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