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天然橋
【てんねんきょう】

道と路がわかる事典6章 橋とトンネルの雑学 >

わが国に無数ある橋は、すべて人間がつくってきたものだ。橋が天然記念物に指定されることは常識では考えられない。ところが、わが国には天然記念物に指定された橋があるのだ。長い年月をかけて、浸食されてできた石灰石の天然橋である
広島県北東部の帝釈川中流に、帝釈峡という全長約一五kmにもおよぶ美しい渓谷がある。比婆道後帝釈国定公園の一角を担う中国地方屈指の景勝地で、国の名勝にも指定されている。この地域は広大な石灰石台地で、そのため鍾乳洞や洞門も多い。帝釈峡も、帝釈川に浸食されてできた深い渓谷なのだ。そこに日本最大の天然橋がある。
雄橋(おんばし)という石灰石でできた橋で、長さ七〇m、幅一八m、川面からの高さ四〇m。スイスのブレヒシュ、アメリカのロックブリッジとともに世界三大橋の一つにも数えられ、国の天然記念物にも指定されている。この巨大な橋が、自然にできたというのだから驚きである。なぜこのような橋ができたのか。
その成因を簡単に説明すると、まず石灰石台地が帝釈川に浸食されて、深い渓谷の帝釈峡が形成された。帝釈峡の川底のさらに地底が浸食されて川ができる。今までの川の水は地底川へ流れ込み、水無川と化す。地底川の浸食が進み、洞門がだんだん大きくなると、元の川の川底、すなわち地底川の天井が重みに耐えかねて次々に落下していく。ところが、落下を免れ、部分的残ったところもある。それが天然橋なのだ。
従って、雄橋の橋床部分がかっての帝釈川の川底だったところなのである。雄橋の下流にも、雌橋(めんばし)という天然橋があるが、スケールは小さく、帝釈峡のほぼ中程にある貯水池の神竜湖が満水になると、水没してしまう。


日本実業出版社
「道と路がわかる事典」
JLogosID : 14820744


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【この辞典の書籍版説明】

「道と路がわかる事典」浅井 建爾

道を切り口に日本を旅する楽しみに出会う本。身の回りの生活道路の不思議から、古道の歴史、国道や高速道路、橋やトンネル、乗り物まで道と路に関する知識が満載。

出版社: 道と路がわかる事典[link]
編集: 浅井 建爾
価格:1620
収録数: 255274
サイズ: 18.6x13.4x2cm
発売日: 2001年11月
ISBN: 978-4534033154