掘割式道路
【ほりわりしきどうろ】
【道と路がわかる事典】 5章 いろいろな道 >
都市交通の重要な役割を担う都市高速道路は、密集した市街地の中を走るので、高架式で建設されるのが普通である。そこでネックになるのが環境問題。騒音、排気ガス、日照権などの問題が絡んでくるのだ。特に住宅地の中を通り抜ける場合、沿線住民は生活環境が脅かされるので、他人ごとでは済まされない。騒音は防音壁の設置である程度は緩和されるだろうが、排気ガスによる空気の汚染からは逃れ難い。また、高架式の道路が通ることによって、それまでふんだんに太陽の光を享受していた住宅が日陰になるとなれば、沿線住民にとっては深刻な問題である。反対運動がし烈になるのは当然のことといえよう。
住民との話し合いがつかず、ルート変更を余儀なくされたところもある。道路を地下に走らせればこれらの問題は解決できるが、今度は建設費が問題になってくる。何しろ、地下を走らせれば、高架式の数倍の建設費がかかることもあるのだ。道路を建設する側としては、おいそれと受け入れられる問題ではない。そこで浮上してきたのが掘割式道路だ。地面を掘ってそこに道路を通す。地下に建設されても、トンネルのように密閉されたものではなく、全開、もしくは部分的に天井は開放されている。
掘割式にすれば沿線住民の理解もえられやすくなる。騒音はほとんど遮断されるし、日照権が侵される恐れもない。空気の汚染もある程度は緩和される。上にフタをすれば、その上の土地を有効利用もできる。当初は高架式で建設される予定だった高速道路が、沿線住民の反対でやむなく掘割式に変更になったというケースもある。
掘割式の道路は、建設費は高架式よりもかかるが、環境には優しい道路なのである。
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【この辞典の書籍版説明】
「道と路がわかる事典」浅井 建爾 |
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道を切り口に日本を旅する楽しみに出会う本。身の回りの生活道路の不思議から、古道の歴史、国道や高速道路、橋やトンネル、乗り物まで道と路に関する知識が満載。 |
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