石段
【いしだん】
【道と路がわかる事典】 5章 いろいろな道 >
階段を売り物にしているのは、津軽半島の階段国道ばかりではなかった。熊本県の中央町に、とてつもなく長い石段がある。石段も歩道の一種、れっきとした道である。中央町は県のほぼ中央にあることからその名があるが、目ぼしい観光地はない。石橋が多い町として一部の人には知られているが、全国的な地名度はゼロに等しい。
石段はこの町の活性化を図るために、釈迦院の表参道にあたる御坂に建設されたもので、三三三三段と日本一段数の多い階段なのである。昭和五五年に着工し、六三年に完成。それまで日本一だった羽黒山(山形県)の二四四六段を軽々と抜いて、堂々の日本一に輝いたのだ。長さは二・九kmもある。足に自信がなければとても頂上までたどり着けそうもないほどの、長い長い石段である。
この石段の特徴は、世界各国の名石を使っているということだろう。地元の熊本石をはじめ、中国、韓国、インド、ロシア、アメリカ、ブラジル、南アフリカと、石段で世界の石巡りができるほどである。
北海道の赤平(あかびら)市には、日本一という珍しいズリ山階段がある。ズリ山とは採掘された石炭に混じっている不純物を積み上げた山で、九州ではボタ山という。
赤平市は旧炭鉱都市で、人口わずか一・六万人。「町の活性化」は過疎に悩む都市の共通した課題である。ズリ山階段は赤平市制百年を記念して、町の活性化を願って建設されたものだ。
標高一九七mのズリ山に、七七七段の階段がつくられた。それまで日本一だった長崎県のボタ山階段(五五五段)を抜いて、日本一の座についたのである。頂上からは、赤平市街を眼下に、暑寒別岳や十勝岳が一望のもとに見渡せる。
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【この辞典の書籍版説明】
「道と路がわかる事典」浅井 建爾 |
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道を切り口に日本を旅する楽しみに出会う本。身の回りの生活道路の不思議から、古道の歴史、国道や高速道路、橋やトンネル、乗り物まで道と路に関する知識が満載。 |
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