尚子ロード
【なおころーど】
【道と路がわかる事典】 4章 道の由来と文化 >
人名に由来する地名は全国各地にあるが、人名にちなんだ道路名は、日本の文化に馴染まないのか、ほとんど見当たらない。だが最近は、道に人の名前をつけるのがブームになりそうな気配なのだ。有名人の名前を拝借し、町のシンボルロードにしようというのである。
「尚子ロード」もその一つ。尚子とは高橋尚子さんのこと。シドニーオリンピックで、日本の女子陸上史上初の金メダルを獲得したマラソンランナーとしてあまりにも有名である。その金メダルにあやかって名づけられた道が「尚子ロード」なのだ。
彼女が所属する積水化学陸上部のある千葉県佐倉市と、合宿地の鹿児島県徳之島には、それぞれ「尚子ロード」と称する道がある。そして、出身地の岐阜市でも誕生した。岐阜市の尚子ロードは、鵜飼で有名な長良川の右岸約二・五kmのコースで、彼女が県立岐阜商業高校時代に、練習でよく走った道だという。この道こそ金メダルへの栄光の道だといわんばかりに、岐阜市が約二七〇〇万円をかけて整備したという次第だ。しかも、「高橋尚子ロード」とフルネームを使って、佐倉市や徳之島に差をつけている。道路を拡幅したり、カラー舗装を施したり、スタート地点の長良川公園には高橋選手の足形や、シューズのモニュメントも設置するという入れ込みようだ。
この道を、オリンピックを目指すタマゴたちが、高橋選手を目指して走ることだろう。そして、やがてはこの道から第二の尚子が誕生する金メダルへの道になるかもしれない。一女性の名前が道になる。時代も変わったものである。郷土が生んだ名将斎藤道三が聞いたら、腰を抜かすかもしれない。
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【この辞典の書籍版説明】
「道と路がわかる事典」浅井 建爾 |
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道を切り口に日本を旅する楽しみに出会う本。身の回りの生活道路の不思議から、古道の歴史、国道や高速道路、橋やトンネル、乗り物まで道と路に関する知識が満載。 |
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