歴史国道
【れきしこくどう】
【道と路がわかる事典】 4章 道の由来と文化 >
わが国に自動車が登場して以来、道路は車のためにあるのだといわんばかりに、自動車中心の道路行政が行われてきた。並木は伐採され、街道に残る一里塚や道標などは取り払われ、道路はどんどん拡張されていった。そのため、昔から人々が往来し、物資が運ばれ、文化がもたらされた旧街道は、ほとんど姿を消してしまった。しかし、すべてが失われたというわけではなかった。今も当時の面影をとどめた街道や並木、宿場町などが各地に残っているのだ。
先人たちが築いてきた道を踏みにじってきたという過去への反省もあるのだろうが、これらの旧街道はわが国に残された貴重な文化遺産だとして、保存していこうというのである。そこで歴史上重要な役割を果たしてきた幹線道で、今も往時の面影をとどめている道路などを「歴史国道」に指定し、国土交通省が中心となって復元、整備に取り組んでいる。
歴史国道には、赤松の並木が美しい函館市郊外の赤松街道、中山道の妻篭と馬篭(長野)、若狭街道(鯖街道)の熊川宿(福井)、日本最古の官道として知られる竹内街道(大阪)、沖縄の国頭方西街道など、北海道から沖縄まで各地にある。
歴史国道は、次世代に残すという意図もあるため、少しでも当時のたたずまいに近づけようと、アスファルト道路を石畳の道にしたり、電柱を地中に埋めたり、道標を設置するなど整備が着々と進められている。
歴史国道を通して、道の果たしてきた役割を見直し、道の文化と歴史を知り、と同時に現代の道路のあり方も理解してもらおうというのが、歴史国道の整備目的なのだ。最近は健康ブームも手伝ってか、家族やグループで、歴史国道のウォーキングも盛んである。
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【この辞典の書籍版説明】
「道と路がわかる事典」浅井 建爾 |
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道を切り口に日本を旅する楽しみに出会う本。身の回りの生活道路の不思議から、古道の歴史、国道や高速道路、橋やトンネル、乗り物まで道と路に関する知識が満載。 |
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