案内標識
【あんないひょうしき】
【道と路がわかる事典】 1章 現代の道おもしろ知識 >
遠くへ出かけたときなど、行先の方向や距離、路線名などが表示された案内標識に助けられた経験のある人は多いだろう。青地に白文字で目的地や通過地までの距離、方向などが記されている案内標識は、不慣れな地で道に不案内なドライバーには強い味方である。では、この標識に表示された距離数だが、どこまでの距離を表わしたものなのだろうか。
たとえば「東京まで五〇km」の標識があったとき、東京のどこまでが五〇kmなのか。東京に差しかかった地点までの距離か、それとも東京の中心地までの距離なのか、それがわからなければ案内の意味がない。
江戸時代の主要な街道の起点は日本橋だった。現在でもその伝統は受け継がれ、日本橋には「日本国道元標」がある。「東京まで五〇km」の地点は日本橋なのである。
では、ほかの都市はどこが基準になっているのか。かつては基準点の位置が定まっていなかったため、案内標識によって距離がまちまちだった。
筆者には苦い経験がある。若い頃に自転車で日本一周の旅行をしていたとき、何kmも走ったにもかかわらず、案内標識の目的地までの表示距離が、その前の標識より増えているのである。当時の道路は悪路の連続。五km、一〇kmが非常に遠かった。悪路を一生懸命走ったにもかかわらず、標識の距離が逆に増えてしまったときの腹立たしさは、当時の悪路を自転車で走った者にしかわかるまい。
こういった現象は各地にあった。基準となる地点が定まっていなかったからである。現在は統一され、案内標識の距離表示の基準となる地点は、市町村役場の正面の位置とされている。市町村役場が街外れにある場合は、市街地の中心交差点や、鉄道駅などを基準としている。
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【この辞典の書籍版説明】
「道と路がわかる事典」浅井 建爾 |
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道を切り口に日本を旅する楽しみに出会う本。身の回りの生活道路の不思議から、古道の歴史、国道や高速道路、橋やトンネル、乗り物まで道と路に関する知識が満載。 |
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