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一二辰刻②
【じゅうにしんこく】

暦の雑学事典4章 時刻・時計 >

◆一時(辰刻)は二時間、一刻は三〇分
 平安時代の『延喜式』においては、一辰刻を四刻(一刻から四刻まで)に分けている。一辰刻は現在の二時間だから、一刻は三〇分に相当する。
 「草木も眠る丑三つ時」というのは、丑の辰刻(午前一~三時)の三刻目のことをいい、現在の午前二時に相当する。宮中においては一二辰刻を太鼓で知らせたが、丑三つ時といっても太鼓が三つ鳴るという意味ではない。
 しかし、平安時代の昔から一二辰刻と四刻の合図は混同されていたようだ。『枕草子』には宮中における時報のようすが記されている。「時奏する、いみじうをかし。いみじう寒き夜中ばかりなど、ごほごほとごほめき、沓すり来て、弦うち鳴らしてなん、『何のなにがし、時丑三つ、子四つ』など、はるかなる声にいひて、時の杭さす音など、いみじうをかし」(『枕草子』二九〇段)。「時の杭さす」というのは、清涼殿の庭にあった時の簡に、一昼夜四刻ごとに木釘をさして時刻を示したことをいう。この文章に続けて清少納言は次のように記している。「『子九つ、丑八つ』などぞ、さとびたる人はいふ。すべて、なにもなにも、ただ四つのみぞ、杭にはさしける」。九つ、八つというのは辰刻を知らせる時報であり、時の杭は辰刻を細分した四刻を知らせるためのものであるだから清少納言はさとびたる人(田舎者)は時の杭と辰刻の太鼓の音の違いも知らないと冷笑しているのである
◆「明六つ」「暮六つ」の意味
 「花の雲鐘は上野か浅草か」という芭蕉の句がある。江戸時代には時報を知らせる「時の鐘」が各地に設けられた。鳴らす数は宮中の太鼓の時報を踏襲して、九つ、八つ、七つ、六つ、五つ、四つである。落語や時代小説などで、しばしば「明六つ」「暮六つ」という言葉が使われる。これは卯の時(六つ)は夜明け、酉の時(六つ)は夕暮れにあたるからだ。
 昔は日が長い真夏でも、日が短い真冬でも、夜明けは明六つ、夕暮れは暮六つだった。江戸時代までの日本の生活上の時刻は、日の出日の入りを昼夜の区切りとする不定時法だったからだ。暦法における定時法の一辰刻は一日を一二等分した長さで、生活上の一辰刻は季節によって異なっていた。つまり、不定時法では昼夜をそれぞれ六等分するので、夏季の昼の一辰刻は夜の一辰刻よりも長く、冬季はその逆となる。なぜ一日を等分する定時法が使われなかったのかというと、昔は時計が普及していなかったし、あっても精度が低かったからだ。


日本実業出版社
「暦の雑学事典」
JLogosID : 14820744


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【この辞典の書籍版説明】

「暦の雑学事典」吉岡 安之

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出版社: 暦の雑学事典[link]
編集: 吉岡 安之
価格:1404
収録数: 198221
サイズ: 18x13x1.8cm
発売日: 1999年12月
ISBN: 978-4534030214