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エジプト暦
【えじぷとれき】

暦の雑学事典3章 暦の進化史 >

エジプト人はなぜ一年の長さを知ることができたのか
 古代エジプト太陽暦が発祥したのは、多分に偶然の要素が重なっている。エジプト人の最大の関心事は毎年、ほぼ同じ時期に繰り返されるナイルの増水である。彼らは一年を次の三季に分けた。国土に生命があふれる洪水期(アケト)、潅漑用水路を整備して農耕を始める発芽期(プルト)、実った農作物をとりいれる収穫期(シュムウ)である。この三季はそれぞれ四つの月が含まれるので、一年は合計一二の月からなる。それだけでは一年の起点や長さは確定できないが、都合のよいことにナイルの増水が始まる初夏の明け方、東の空に太陽とともにシリウス(おおいぬ座のα星)が同時出現するという現象が、数千年前のエジプトで起こっていた。これを起点として計測することで、古代エジプト人は一年を三六五日とする太陽暦を手に入れることができた。したがって、当時のエジプト暦太陽暦というより恒星暦(シリウス暦)だった。
 一太陽年は三六五・二四二二日なので、一年を三六五日とするとナイルの増水の始まりは、暦のうえで四年間で一日ずつずれていく。このことにエジプトの祭司たちはほどなく気づき、一年を三六五日四分の一としてずれを解消する方法を考えだした。だが、この暦法は祭司たちが独占していたようで、エジプトにおいて四年に一度の閏年を設けることが法令で定められたのは、西暦前二三八年になってからのことである
太陽暦の発祥年は逆算によってわかる
 ところでエジプト人太陽暦を編みだしたのは、いったいいつ頃のことだったのか。過去のある時点で、太陽とシリウスの同時出現が起きたとする。それから何年後に、再び同時出現するかということは、三六五÷四分の一(三六五×四)=一四六〇年という計算で求められる。つまり、一四六〇年という周期で太陽とシリウスの同時出現が繰り返されていることになる。これをソティス周期という。
 西暦一三九年にはこの太陽とシリウスの同時出現が観測されたため、これをソティス周期によって逆算すると、過去の同時出現は西暦前一三二一年、西暦前二七八一年、西暦前四二四一年……ということになる。このうち、いずれかが古代エジプト太陽暦が発祥した年になるはずだが、さまざまな史料から総合して、西暦前四二四一年という説が支持されるようになった。ただし、ソティス周期は現在の正しい太陽年の長さでは一五〇六年となるので、太陽暦の発祥年はさらに古くなるかもしれない。


日本実業出版社
「暦の雑学事典」
JLogosID : 14820744


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【この辞典の書籍版説明】

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出版社: 暦の雑学事典[link]
編集: 吉岡 安之
価格:1404
収録数: 198221
サイズ: 18x13x1.8cm
発売日: 1999年12月
ISBN: 978-4534030214