暦の意味
【こよみのいみ】
【暦の雑学事典】 3章 暦の進化史 >
◆暦の発達は哲学の基軸時代と一致する
西暦前五〇〇年を中心とする数世紀は、インドでは釈迦、中国では孔子や老子、ギリシアではソクラテスが誕生するなど、人類の精神史・哲学史の一大エポックとなった時代である。哲学者ヤスパースはこれを基軸時代と名づけた。今日の人類の思考形式のすべてが、この基軸時代に登場しているという。
年月日を調和させた科学的な暦法が発達するのもこの時代である。一九年に七回の閏月を置いて暦と季節のずれを解消した置閏法は、西暦前八世紀頃に発見され、西暦前五世紀のギリシアでメトン法として確立された。この十九年七閏法は中国でも西暦前六〇〇年頃(春秋時代)に独立して発見されている。また、原初的な太陽暦を長らく使っていた古代エジプトでは、西暦前三世紀に四年に一度の閏年を置くようになったが、同じ頃、中国でも一年を三六五・二五日とする四分暦が成立している。
まだ東西世界の交流がなかったにもかかわらず、西暦前八世紀から前三世紀にかけて、ほぼ同時多発的に科学的な暦法が誕生しているのはきわめて興味深い。宇宙のしくみや原理を追求することが、哲学の最大課題の一つであるから、それは必然的に暦の発達を促したとも考えられる。
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【この辞典の書籍版説明】
「暦の雑学事典」吉岡 安之 |
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