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日食と月食
【にっしょくとげっしょく】

暦の雑学事典2章 暦の歴史エピソード >

◆部分食、金環食、皆既日食
 一九九九年八月一一日、二〇世紀最後の皆既日食が、ヨーロッパ、中東、インドなどの地域で観測された。天球上を一年間で一周する太陽の軌道を黄道といい、一か月で一周する月の軌道を白道という。黄道と白道は約五度九分ずれているため、天球上で二つの交点をつくる(昇降点=昇交点と降交点)。この交点付近を月が通過する日が、朔(新月)の日にあたると日食が起きる。
 太陽が一つの交点を通過して、再びその交点にもどるのに要する時間を食年という。一食年の長さは三四六・六二日なので、その半分の約一七三日ごとに食の季節がめぐってくる。したがって、計算上、一年間(一太陽年)では最低二回、最高五回の日食が地球のどこかで起きる。最高五回も起きるのは、ある月と翌月の朔の日で連続することもあるからだ。
 日食が部分食や皆既日食、あるいは太陽周辺がリング状にみえる金環食となったりするのは、地球や月の公転軌道は楕円であり、地上から観測される太陽や月の大きさは一定ではないことによる。とくにみかけの月の大きさはプラスマイナス五%も変動するので、月の大きさが相対的に太陽よりも小さくみえる場合は皆既日食とならずに金環食となる。また、黄道や白道は平均的な軌道であり、太陽と月の中心がずれて出会うと部分食となる。◆日食は月食よりも多いが観測できる範囲は狭い
 月食は太陽・地球・月がこの順に一直線に並び、地球の影によって月が欠けたり、覆われてしまう現象である。意外にも月食より日食の発生回数のほうがやや多い。しかし、一般には月食よりも日食が珍しい現象と思われている。これは月食は地球の広範囲の地点で観測されるが、日食はごく限られた地点でしか観測されないことによる。
 皆既日食は月面においては地球食としてみえるはずである。しかし、皆既日食は地球のごく限られた地点でしか観測されないことからわかるように、月面からみられる地球食はスポット的な月の影が地球上を移動するだけだ。九九年八月一一日の皆既日食においては、ロシアの宇宙船ミールが、このスポット的な月の影を撮影している。影の直径はわずか一五〇キロメートルほどにすぎない。地球のある地点で皆既日食に遭遇する確率はきわめて小さいである


日本実業出版社
「暦の雑学事典」
JLogosID : 14820744


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【辞典内Top3】

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【この辞典の書籍版説明】

「暦の雑学事典」吉岡 安之

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出版社: 暦の雑学事典[link]
編集: 吉岡 安之
価格:1404
収録数: 198221
サイズ: 18x13x1.8cm
発売日: 1999年12月
ISBN: 978-4534030214