その他の経絡とツボ
【そのたのけいらくとつぼ】
【東洋医学のしくみ】 5章 鍼灸と気功の世界 >
◆その他の経絡
経絡にはメインルートである十二正経のほかにも、いろいろな流れがあります。
①奇経八脈
十二正経のように臓器に帰属せず経脈相互の関連も少ない経絡のことで、「督脈」「任脈」「衝脈」「帯脈」「陽
奇経八脈は十二正経と交差するように通っていて、正経を流れる気血が増え過ぎると奇経八脈へあふれていくといわれるように、十二正経の気血を調節する働きがあります。
②十二経筋
現代医学での筋肉系と類似点の多い組織で、関節の屈伸運動機能を維持するための経絡が「十二経筋」です。十二正経と同じように「手の太陰肺経筋」「足の陽明胃経筋」というような名称がつけられていて、組織の分布している部位も、名称の同じ正経のルートにほぼ沿っています。
十二経筋は臓器とは直接つながっていないので、気・血・津液などの栄養を正経から間接的に受け取ることになり、経筋が失調すると関節が動きにくくなるなどの運動系のトラブルが起こります。
③十二経別と十二皮部
十二正経から分かれて頭部や胸部に分布している支脈が「十二経別」、十二正経のルートに対応する皮膚の部位が「十二皮部」です。
④十五絡
経絡の一方である絡脈の中心が「十五絡」で、十二正経と奇経八脈のうちの督脈と任脈、それに臓器の脾から分岐する13本の絡脈の総称です。
十五絡のほかに正脈の支脈からさらに細かく分かれた「孫絡」「浮絡」という絡脈もあります。
◆ツボは経脈上の駅
「指圧のツボ」などというように一般的には経絡よりもツボの方が耳になじんでいるでしょう。正しくは日本では「経穴(けいけつ)」、中国では「兪穴(ゆけつ)」と呼ばれます。
経穴と書いても、実際に皮膚に穴があるわけではありません。また、気の出入りする穴とも違います。経脈を鉄道の線路や道路に見立てるとすれば、経穴は駅や関所のようなポイントと考えればいいでしょう。
経穴には経脈中の気血の状況が反映されると同時に、気血の流れを調整する働きがあります。この特徴が、経穴による診断治療の根拠となっているのです。
経穴の数は、時代やとらえ方によって変わっています。『素問』という東洋医学の古典に記されている経穴の数は160、明の時代に編纂された『鍼灸大成』では667、WHO(世界保健機構)に認知されている数は361というように、一定ではありません。
また、経外奇穴といって経脈上にないものや、新しく発見されて認知される新穴もあります。
data-ad-slot値が不明なので広告を表示できません。
【関連コンテンツ】
広告を表示できません。
【この辞典の書籍版説明】
「東洋医学のしくみ事典」関口善太 |
|
ともすれば怪しげなイメージがあり、本来の療法とは根拠の薄い健康本が多い中、東洋医学の病理観から気血津液、証などを正しく教える入門書。漢方薬・経絡マッサージなどの実用面もやさしく解説。医療関係者ほか、健康を本気で考える人にぜひ読んで欲しい一冊。 |
|
出版社:
東洋医学のしくみ[link] |