酉の市
【とりのいち】
【雑学大全2】 社会 > 宗教
酉の市は、毎年一一月の酉の日に各地の(大鳥)神社でおこなわれる祭礼である。縁起物が売られるのは関東地方特有のもので、その主役はなんといっても福をかき込むという熊手だ。鷲が獲物をわしづかみすることになぞらえ、その爪を模したともいわれる。商家では店が大きくなることを願って、年ごとに大きな熊手に買い換えていくのが習わしである。言い値で買うのではなく、熊手商と交渉して負けさせるのが習慣で、商談が成立すると威勢のよい手締めが打たれる。しかし、負けさせた分は「ご祝儀」として熊手商に渡すのが粋とする人もいる。ほかにも、お多福の面や宝船、人の上に立つようになれるという縁起の八つ頭(芋)や、黄金餅と名づけられた粟餅などを売る露天が立ち並び、いまでも多くの人でにぎわう。暦によっては、一カ月に酉の日は二回か三回。一一月にある酉の市も、一の酉、二の酉で終わる年と、三の酉まである年があるわけだが、俗に「三の酉まである年は火事が多い」といわれる。この理由として、江戸時代、男たちが酉の市を口実に吉原へ遊びにいくのを止めようと、女房たちがいい出した、との言い伝えがある。酉の市は江戸庶民、とくに男たちにとっては羽を伸ばす日であった。鷲神社へお参りした後、近くの吉原へ遊びに行く男性が多かったのだとか。女房たちは年に二度ぐらいは、と知らぬふりをして我慢したが、三度となると家計がたいへん。そこで、「三の酉のある年は火事が多い。だから家にいて火の用心をしておくれ」と、男たちが三度も吉原へ行くことを阻止しようとしたのだというが、真偽のほどは定かでない。しかし、この言い伝えはいまも生きていて、三の酉まである年には、熊手商の多くが、縁起熊手に「火の用心」のシールを貼って売り出すそうである。
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「雑学大全2」東京雑学研究会 |
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浜の真砂は尽きるとも,世に雑学の種は尽きまじ。新たな1000項目で帰ってきた,知的好奇心をそそる雑学の集大成第2弾。 |
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