ドラキュラ
【どらきゅら】
【雑学大全2】 そーだったんだ! > フィクション
夜になると死から蘇って棺桶を出て、黒マント姿で若い女性を襲う。彼女たちの生き血を吸うことが死の世界からの蘇りのエネルギーなのだ。こんな人物像で世に知られるのが、吸血鬼ことドラキュラ伯爵である。アイルランドの作家ブラム・ストーカーの著書で描かれているこの怪人には、実在のモデルがいる。一五世紀、現在のルーマニアにあったワラキア公国の王ブラド・テペシュだ。ブラド王は、別名を串刺し公と呼ばれた。串刺しの刑を好んだことからの命名である。彼には、国にとって無益であるという理由だけで国中の浮浪者を集めて殺した、自分に無礼な態度をとった客に怒ってその場で殺した、というような血なまぐさいエピソードが数多く伝えられている。彼の通称、串刺し公の由来は、オスマン帝国との戦いで、捕虜にした多数の敵兵を串刺しで殺したことにある。これまた残虐なおこないに見えるが、当時のワラキアの置かれた状況を考えれば、彼の捕虜の処置の裏には、やむを得ない事情もうかがえる。即位まもないブラド王は、オスマン帝国の標的となっているワラキアの国家存亡をかけて戦っていたのだ。貴族たちのなかには敵国に内通する者もおり、それがわかれば処刑するしかなかった。敵国兵の串刺しも、そんな戦いのなかでの見せしめだったのである。そんな激しい抵抗の影響もあったのか、オスマン帝国はワラキアを領土とするのをやめ、宗主国として自治を認めた。その功績から、地元ルーマニアでは、ブラド王は祖国の英雄として尊敬されるべき存在となっている。彼の残虐さばかりが伝えられることになったのは、後にドイツで編まれた小冊子が、ブラド王の処刑ぶりだけをことさら書きたてたからだという。
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【この辞典の書籍版説明】
「雑学大全2」東京雑学研究会 |
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浜の真砂は尽きるとも,世に雑学の種は尽きまじ。新たな1000項目で帰ってきた,知的好奇心をそそる雑学の集大成第2弾。 |
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