遠山の金さん
【とうやまのきんさん】
【雑学大全2】 そーだったんだ! > フィクション
「桜吹雪」の刺青(入れ墨)を見せて大見得を切り、悪人どもを降参させて一件落着となる『遠山の金さん』は、人気のテレビ時代劇である。「遠山の金さん」こと遠山金四郎景元は実在の人物であるが、このドラマに描かれた「金さん」とは異なる事実が少なくない。まず裁きの場面であるが、御白州は中庭のような屋外ではなく、奉行所の屋内にあった。しかも、縁側から御白州に降りる階段など存在しなかったから、階段の途中で大見得を切ることは不可能だったのだ。さらに、町奉行が立ち上がって刺青を見せるなどという行為が、そもそも許されるはずもなかったのである。また、町奉行が直接容疑者にいろいろ尋問するのも事実とは異なる。取り調べは、吟味方与力という専門担当者が牢屋敷で取り調べるのが一般的であった。こうして罪状が固まると、御用部屋同心が判決文を作成し、そのうえで、御白州に町奉行が主座し、裁きが下されたのだ。この間、何か嫌疑があれば、町奉行は間接的に容疑者に問いただし、直接話しかけることはなかったという。判決も即座に申し渡されるのではなく、とくに重刑は幕府の老中からあらかじめ許可を受ける必要があったという。こうしてみると、『遠山の金さん』は、やはり劇にすぎない。しかし、遠山金四郎景元が肩に刺青をしていたのは本当だったようだ。金四郎の父である遠山景晋は養子であったが、養子に入った後で養父に実子が誕生した。このため景晋はこの実子を養子にむかえ、景元に家督を譲らなかった。その後、景元はこの実子の養子となって遠山家を継ぐ。このややこしい家庭環境もあって、景元は青年時代を家出同然で過ごす。肩の刺青は、青年時代に放蕩生活をしていたときに彫られたようである。しかし、その絵柄は桜吹雪ではなく、「女の生首が髪を振り乱した巻物の絵柄」だったらしい。
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【この辞典の書籍版説明】
「雑学大全2」東京雑学研究会 |
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浜の真砂は尽きるとも,世に雑学の種は尽きまじ。新たな1000項目で帰ってきた,知的好奇心をそそる雑学の集大成第2弾。 |
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