桜餅
【さくらもち】
【雑学大全2】 生活 > 食べ物
長命寺と道明寺に共通するものは何?という質問にすぐに答えが出せる人は、かなりの食いしん坊で甘いもの好きに違いない。どちらも桜餅にゆかりのある名前だからだ。長命寺というのは、東京は向島にある実在の寺の名で、桜餅発祥の地とされている。道明寺というのは、これも大阪は藤井寺市にある実在の寺の名で、この寺に由来する道明寺粉は、関西で定番の桜餅の材料である。どちらにも共通なのは、塩漬けにした桜の葉だ。桜の葉は塩で漬けることで発酵し、独特の芳香を放つようになるのだ。江戸は向島の長命寺の門番が、あまりにたくさん散る桜の葉を見て、何かに使えないかと考えて生み出したのが桜餅だと伝えられている。彼は、薄く焼いた小麦粉の皮であんこを包み、それを塩漬けの桜の葉でくるんだ。この香りのよい菓子は、向島の花見客の間で評判になり、やがて江戸に春の到来を告げる名物へと成長した。いまやシーズンには東京のどこの和菓子屋でも見かけられる風物詩的な和菓子である。一方の関西では、桜の葉の塩漬けでくるむところは同じでも、粗めに挽いた道明寺粉を用いた皮であんこを包み、おはぎ状にしたのが定番のスタイルだ。道明寺粉は、道明寺の尼が乾燥させたもち米(糒=干飯)を挽いて粉にしたことがはじまりといわれ、もち米を水挽きした白玉粉とは違い、もち米を一度蒸してから乾燥させ、それを粗く挽いた粉である。江戸風、関西風、どちらの桜餅も桜の葉ごと食べられ、葉のほどよい塩気と香りが風味を増す役割を果たしている。いまでは桜餅専用に大島桜の葉が塩漬けにされていて、伊豆半島の松崎町が全国シェア七割を占める一大生産地になっている。
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【この辞典の書籍版説明】
「雑学大全2」東京雑学研究会 |
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浜の真砂は尽きるとも,世に雑学の種は尽きまじ。新たな1000項目で帰ってきた,知的好奇心をそそる雑学の集大成第2弾。 |
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