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斉藤道三
【さいとうどうさん】

雑学大全2ヒトの不思議 > 人物

戦国時代を生きた武将、斉藤道三は、寺の修行僧、そして油売りから身を興し、美濃の太守まで上りつめたといわれてきた。しかし近年、道三の下克上は、親子二代にわたるものだったということがわかってきた。近年紹介された「春日文庫」には、日蓮宗妙覚寺の坊主だったのが、寺を飛び出して、油売りの娘と結婚し、美濃へも油を売りにやってきて、ここで武士になるという道三の前半生が、実は道三の父、長井新左衛門尉(長井豊後守)のことであると書かれているのだ。これまでの伝記もののほとんどは、道三本人が妙覚寺を出て美濃に来たとしているが、この文献が正しいとすれば、これらがすべて覆されるのだ。美濃に来て、土地の実力者、斉藤氏に気に入られた道三の父は武士になるが、一四九五(明応四)年からの舟田の乱と、それに続く近江出兵の影響により、美濃は一時的に政界が空白になった。武士としては身分が低かった新左衛門が飛躍的な出世ができたのはこのためだった。やがて所有地も拡大させ、美濃紙の集散地である東山口郷を押さえて財力をつけ、土地の実力者になっていく。守護の信頼も買っていた新左衛門だったが、一五二八(享禄元)年を境に急に歴史から名前が消えている。道三(当時は斎藤秀龍を名乗る)はその後、土岐頼芸の寵愛を受け、一五三九(天文八)年には稲葉山城を大改築し、土岐家の中でも重臣となっていく。そしてついには、自分の主君である守護土岐頼芸を国外へ追放してしまう。これで美濃国内には道三の上に立つものはいなくなり、名実ともに美濃の太守となった。「血も涙もないマムシ」といわれた道三だが、国盗りの発端となったのが、「父のための仇討ち」であったのはなんとも皮肉な話である


東京書籍
「雑学大全2」
JLogosID : 14820744


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編集: 東京雑学研究会
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発売日: 2004年8月
ISBN: 978-4487801305