エレファンツ・ブレス
【えれふぁんつぶれす】
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英語の色名辞典の最高権威とされるのが、メルツとポールの『色彩辞典』(A. Maerz and M. Rea Paul, A Dictionary of Color, McGraw-Hill Book Co.)。初版は一九三〇年に出版された。七〇〇〇色以上の色見本が精巧な色刷りで印刷され、色名については四〇〇〇種類以上が紹介されている。そのなかで、ほかの色彩辞典には収められていない奇妙な色名が登場する。「エレファンツ・ブレス」(「ゾウの息」の意)という色名だ。福田邦夫氏の『奇妙な名前の色たち』(青娥書房)によると、色名「エレファンツ・ブレス」には色見本がついておらず、どんな色だったのかがわからないという。メルツとポールは、色名に関する既存の資料を比較・検証して、最適と思われる色を選んでいる。だが「エレファンツ・ブレス」については、その参考資料のなかにすら色見本が登場しないのだ。結局、辞典内では「よくわからない色名」として別に取り上げられてしまっている。出版から八年して「エレファンツ・ブレス」の手がかりになりそうな色が色見本付きであらわれた。それは「エレファント・グリーン」という暗い緑色で、ゾウを狩るハンターの服の色と考えられる。この色は一九世紀末の「ハンター・グリーン」とまったく同じ色だという。さらにその後しばらくして「エレファント・スキン」という、ゾウの肌の色をあらわした茶色がかった灰色も登場している。ちなみにエレファント・スキンという色が文献に登場しはじめた年代とされているのは一九二八年。メルツとポールの『色彩辞典』初版出版の二年前のことである。ハンターの服の色をあらわすエレファント・グリーンと、ゾウの肌の色をあらわすエレファント・スキン。しかもこの色が登場したのは、象牙目的のハンターがヨーロッパからアフリカへと足をのばしはじめた時代。そこから想像される「ゾウの息」は、なにやら悲しい色になりそうだ。
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【この辞典の書籍版説明】
「雑学大全2」東京雑学研究会 |
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浜の真砂は尽きるとも,世に雑学の種は尽きまじ。新たな1000項目で帰ってきた,知的好奇心をそそる雑学の集大成第2弾。 |
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