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ウナギ①
【うなぎ】

雑学大全2生物の不思議 > 魚類

世界一のウナギ消費国、日本。年間で約一三万トン、一人あたり五匹を食べているという。そんな身近な食材にもかかわらず、その生態は謎に包まれているのだ。ニホンウナギは川を上り淡水で育ち、産卵期になると海へ戻ることが知られているが、どこで産卵し、どういうルートで海を回遊するのかなど、その詳細な生態は知られていない。ウナギの産卵場所についての調査は一九三〇年代からすでにはじまっていた。一九九一(平成三)年には産卵場所はマリアナ諸島西方海域にあることがわかったが、かなり広範囲にわたっており、仔細な場所の特定には至らなかった。そこで二つの仮説が立てられた。一つは産卵場所を特定する「海山仮説」、もう一つは産卵期を示す「新月仮説」である。この二つを総合した結果、ウナギは夏の新月に、マリアナ沖のパスファインダー火山、アラカネ海山、スルガ海山のいずれかで産卵すると仮定された。この仮説を基に、一九九四(平成六)年から調査が続けられた。そして一〇年以上の歳月が流れた二〇〇五(平成一七)年、東京大学海洋研究所の研究グループが、六月七日の新月に、北緯一四度、東経一四三度付近にある海溝・スルガ海山の西方約一〇〇キロの地点で、生後二日の仔魚約四〇〇匹を捕獲。海山周辺で産卵された卵が西向きの海流で流されたものと考えられ、二つの仮説が正しかったことが証明された。ウナギの詳細な産卵場所を特定したのはこれが世界初である。これで産卵場所は特定された。しかし、ここで生まれたウナギは、北赤道海流と黒潮にのって、約三〇〇〇キロ離れた日本まで長い道のりを旅してくると考えられ、その回遊ルートや、なぜそんなに遠い道のりを旅する必要があるのか、どれくらいの期間を川で過ごすのか、性別決定の条件や寿命も不明と、ウナギの生態の謎解きはまだはじまったばかりといえる。二〇〇七(平成一九)年に入り、同研究所の別グループが、熊本県天草市の沖合い約一〇キロの天草灘で、ニホンウナギの捕獲に成功した。捕獲したニホンウナギは卵を抱いていたという。通常、産卵期のニホンウナギは光を嫌い、エサもとらないため、観察はもちろん、捕獲されたのは世界的にも珍しいという。今回の捕獲成功でウナギの回遊ルート解明、ひいてはウナギの生態の全容解明への一歩を踏み出したといえよう。


東京書籍
「雑学大全2」
JLogosID : 14820744


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編集: 東京雑学研究会
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