富岡製糸場
【とみおかせいしこうじょう】
【日本史の雑学事典】 第10章 文化の巻 > 明治時代
■11 錦絵で有名な富岡製糸場は、その一部が現存する…歴史をいまに留める官営模範工場の勇姿
明治政府は、富国強兵を目指して殖産興業政策を積極的に推進していったが、その政策の一環として、官営模範工場と称する国立の最新工場を各地に設立していった。なかでも有名なのは、工場内部を描いた錦絵が多くの教科書や資料集に掲載されている、群馬県富岡市の富岡製糸場であろう。
この製糸場は、1872年に操業を開始した。フランス人技師ポール・ブリューナを雇用して、フランス式の最新器械を導入、工女(女子労働者)に近代的な糸繰り技術を伝授したことで知られている。
錦絵には、建物内の左右に整然と工女たちが居並び、外国人技師の指導のもと、糸繰りをしている姿が描かれている。赤レンガの壁とガラス窓が、文明開化の臭いを漂わせている。
すでに遠い明治の話だが、実はこの富岡製糸場、何と現存しているのである。製糸場の正門やブリューナの館に加え、あの錦絵にある赤レンガの壁も一部現存している。
現在の富岡製糸場は、片倉工業㈱という民間会社の所有で、1987年までは現役工場として稼働していた。すでに操業はストップしているものの、同社の手で大切に保存されている。民間所有なので原則として公開していないが、特別拝観日には内部に入って見学することができる。
入ってみると、まさに錦絵にあるがままの姿で、赤レンガとガラス窓枠が残っている。驚くことにガラスについては、設立当初のものが一部残っており、手作りのガラスを通した先のゆがんだ風景が、往時を偲ばせてくれる。
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【この辞典の書籍版説明】
「日本史の雑学事典」河合敦 |
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歴史は無限の逸話の宝箱。史実の流れに紛れて見逃しそうな話の中には、オドロキのエピソードがいっぱいある。愛あり、欲あり、謎あり、恐怖あり、理由(わけ)もあり…。学校の先生では教えてくれない日本史の奥深い楽しさ、おもしろさが思う存分楽しめる本。 |
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日本史の雑学事典[link] |