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沢庵漬け
【たくあんずけ】

日本史の雑学事典第9章 食と習慣の巻 > リスト

■15 沢庵漬けの命名者は将軍様?…沢庵和尚が発明したという話は事実無根
 沢庵漬けを始めたのは、江戸時代初期の名僧にして江戸・品川に東海寺を開いた沢庵和尚だったと言われている。
 だが、南町奉行・根岸鎮衛が役職の合い間に聞き知った話や事件を書き留めた随筆集『耳袋』には、次のような話が載っている。
 東海寺の老僧が筆者に語ったところによれば、3代将軍・徳川家光が品川を訪れたさい、東海寺で食事をとった。このおり、家光が「何か珍しい食い物はないか」と言ったので、沢庵は、大根の糠漬けを「貯え漬けです」と差し出した。これを食べた家光は大変喜び、「貯え漬けではなく、これは沢庵漬けだ」と言った。そのため、この大根の貯え漬けのことを沢庵と呼ぶようになったと言うのだ。
 この話が本当なら、沢庵漬けはすでに以前より存在し、なおかつ命名者は将軍・家光だということになる。
『耳袋』は江戸中期の本だから、この頃には沢庵漬けの名がかなり普及していたのだろう
 ちなみに、食物史研究家たちは、すでに大根の糠漬けが平安時代から存在していたことを突き止めており、これが沢庵和尚の発明というのは、どうやら完全な間違いであるようだ
 沢庵の命名に関してはこんな異説も存在する。
 沢庵の墓石が丸い無縫塔であり、漬物の重石にちょうどいい大きさだったので、だんだんと沢庵漬けと呼ぶようになったという説、沢庵が江戸で大根や茄子の糠漬け積極的に広めたことから、沢庵漬けの名が生まれたという話などである


日本実業出版
「日本史の雑学事典」
JLogosID : 14820744


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【この辞典の書籍版説明】

「日本史の雑学事典」河合敦

歴史は無限の逸話の宝箱。史実の流れに紛れて見逃しそうな話の中には、オドロキのエピソードがいっぱいある。愛あり、欲あり、謎あり、恐怖あり、理由(わけ)もあり…。学校の先生では教えてくれない日本史の奥深い楽しさ、おもしろさが思う存分楽しめる本。

出版社: 日本史の雑学事典[link]
編集: 河合敦
価格:1404
収録数: 136語224
サイズ: 18.6x13x2.2cm
発売日: 2002年6月
ISBN: 978-4534034137