パナマ運河
【ぱなまうんが】
【時事用語のABC】 社会 > インフラ・公共施設
2014年8月15日、パナマ運河が開通から100年を迎えた。パナマ運河は太平洋と大西洋を結ぶ運河。海上物流の要として世界貿易を支える存在である。重量ベースで世界の海上貿易の5%を占める。1880年代にフランス政府の支援で建設が始まったが、債務の膨張や事故死の続出を受けて頓挫。その後、事業や一帯の管理権を引き継いだ米国が約10年かけて建設し、1914年8月15日に開通した。1999年末まで米国が管理を続けた後、パナマ共和国に完全返還された。ちなみに最初に通航したのは米国の蒸気船「アンコン号」である。全長約80キロで、通航には8~10時間を要する。水門で水位を調節して船を行き来させる方式を採用しており、毎日平均35隻が通航している。日本はパナマ運河の利用が多く、発着地別の通航量では米国、中国、チリに次ぐ世界4位。近年、通航量の増加で混雑が続く一方、運河を通れない大型船も増えており、これを解消するため、新たな水門を設けるなどの拡張工事を2007年から行っている。工事は当初2014年に完了する予定だったが、サシール(スペイン)など工事を請け負う企業連合と、パナマ運河庁との超過分費用負担をめぐるトラブルなどで度々遅れた。現在の予定どおり2015年末に工事が完了し2016年初から利用できるようになれば、通航できる船舶の横幅は最大で約32メートルから49メートルに広がる。最大積載量は3倍近くになる。2017年には、米東海岸で生産が拡大しているシェールガスを、日本の火力発電所の燃料用に輸入するための輸送経路として使われることになる見通しである。なおエジプトのスエズ運河はパナマ運河より通航容量が大きい上、40億ドルをかけて現在のスエズ運河と並行する「新スエズ運河」を建設する計画もある。ニカラグアでも、現在のパナマ運河を通ることができない超大型貨物船も通航できる運河の建設計画が動いている。またホンジュラスには、貿易促進のため太平洋とカリブ海を結ぶ鉄道を建設したい意向がある。パナマ運河拡張工事計画にはこれらに対抗する狙いがある。
data-ad-slot値が不明なので広告を表示できません。
【辞典内Top3】
【関連コンテンツ】
広告を表示できません。
【この辞典の書籍版説明】
「時事用語のABC」時事用語ABC編集部 |
|
今の社会が見えてくる話題のキーワードをやさしい言葉でわかりやすく解説しています。情報協力:松山大学檀研究室。社会貢献活動の一環としてメールマガジンなどのサービスを展開中。就職活動や資格試験のほか、教養・雑学の情報源として多く利用されている。 |
|
出版社:
時事用語のABC[link] |