江知勝
【えちかつ】
【東京五つ星の肉料理】 牛肉料理 > 文京区
明治4年(1871)に創業し、大正12年(1923)の関東大震災の前には、すでに現地に店を構えていたという。震災は免れたものの店は先の戦災で焼け、現在の建物は昭和27年に2部屋から始めて、その後少しずつ建て増してきたものだ。
春日通りに面した粋な入口から玄関まで、こざっぱりと打ち水した敷石がつづく。堅格子の古風なガラス戸を開けると、石を敷き詰めた広い三和土、その先は二段に造られた、これも十分に広い式台。正面の坪庭越しの庭に緑があふれる。
ぴかぴかの板張りの廊下に沿って、1階に9つ、2階に8つの座敷がある。どれも茶室あるいは書院風の簡素な造りの部屋は、昔ながらの牛鍋風のすき焼をつつくのにふさわしい。
黒毛和牛の最高級A5ランクの肉を、代々の女将が手ずから作る、醤油・みりん・砂糖・水で味を調えた割下で煮る。絹のように肌理細かくやわらかい肉は、煮過ぎずうっすらピンク色くらいが食べごろ。明治の東京が薫る店で牛鍋の真髄をぜひ。
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【この辞典の書籍版説明】
「東京五つ星の肉料理」岸 朝子/選 |
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とんかつ、ステーキ、すき焼き、しゃぶしゃぶ、桜鍋、ハンバーグ、ビーフシチュー、軍鶏料理……あらゆる肉料理から、東京でこれぞという名店を料理記者・岸朝子が精選に精選を重ねて紹介。 |
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出版社:
東京五つ星の肉料理[link] |