渡り鳥
【東京雑学研究会編】
【雑学大全】 生物の不思議 > 鳥類
地図も羅針盤も持たず、文字どおりの身一つで、海を越えて飛び続ける渡り鳥。飛行距離は、数千キロメートルにも及ぶことが珍しくなく、それだけでも驚異なのに、迷わずに去年の場所に戻ってくるのが、また不思議である。
渡り鳥とは、季節によって定期的に往復移動をする鳥のことである。ほとんどが南北に移動して、北方で繁殖し、南方で越冬する。
それが、繁殖やエサを得ることに有利なのであろうと考えられるが、渡りには大変なエネルギーを要するし、危険も伴う。
実のところ、なぜ渡り鳥がそんなリスクを冒してまで渡りをするのか、何を道しるべにして迷わずに飛んでいるのかは、解明されていないのである。
この秘密を探ろうと、多くの調査や実験がなされてきた。
渡り鳥は、夜に飛んだり、海の上を飛んだりする。だから、地形を見下ろして、島や山脈などを目印にして飛ぶことはできない。
それなのに、その年に繁殖地で生まれたばかりの若い鳥も、一度も行ったことがないはずの群れの目的地にたどり着く。親鳥に教えてもらったのかと思えば、親鳥は子よりも先に、さっさと飛び立ち、渡り終えていたりする。
ある研究者は、コウノトリの集団を、渡りの季節が来る前に別の場所に移してみた。こうすれば、いつもの越冬地に行くためには、今までと大幅に違うコースをとらなくてはいけない。ところが、コウノトリたちは、あっさり飛び立って、いつもの越冬地に到着したのである。
また、ある研究者は、巣に戻ろうとする鳥の集団を、遠く離れた地点で飛行機を使って捕らえ、しばらくたってから放してみた。それでも、鳥たちは何事もなかったかのように、巣のある方向へ飛び去って行った。
渡り鳥たちが基準にしているのは、人間と同じ方向感覚、地理感覚ではなさそうである。
現時点の研究では、鳥の脳内に体内時計があって、昼間は太陽の位置、夜は星座の位置を頼りにして、方位を補正しながら一定の方角に飛んでいると考えられている。また、地磁気や風向き、日照時間なども、渡り鳥の道標になっているのであろう。
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【この辞典の書籍版説明】
「雑学大全」東京雑学研究会 |
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