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【東京雑学研究会編】

雑学大全自然 > 自然

世界でも面積がベストファイブにランキングされていた湖が、人為的な原因で将来消えてしまうかもしれない、というショッキングな予測がある。
問題の湖は中央アジアのウズベキスタンとカザフスタンの国境にあるアラル海という湖。かつて世界屈指の透明度を誇っていたこの湖に流れ込むのはシル川とアム川で、その源流はアフガニスタンやパキスタンや中国が国境を接するミール高原だ。
アラル海は一九六〇年代以前には六万七〇〇〇平方メートルという世界四位の面積を持つ塩水湖だった。けれども一九九一年には三万三八〇〇平方キロメートルとおよそ半分にまで小さくなってしまった
こんなことになってしまった原因は旧ソ連の水資源開発だ。
一九五〇年代の終わりから、アラル海近辺の綿花生産量と穀物生産量をあげるため、アム川とシル川で大規模な灌漑工事が始められ、アラル海に流れ込む河川で大量の取水が行われた。このため、この二つの川からアラル海に流れ込む水の量は急激に減少した。
アラル海は一九七六年には面積が五万五七〇〇平方キロメートルに減少。以前は一〇〇〇立方キロを超えていた水量も七六三立方キロまで落ち込んでしまった
このままではアラル海はなくなってしまう、という専門家の警告で灌漑工事は中止されたが河川からの流水量は減ったまま。
結果的にアラル海の水量はさらに減り続け、一九九一年には水位の低下のため湖は、南の大きい水域と北の小さな水域に分離してしまったのだ。
以前は塩分濃度一%程度で漁業に好適だったアラル海は、水が減るにしたがって塩分濃度が三%まであがり、多くの種類の魚が死に絶え、漁場は消滅してしまった。さらに湖底に露出した塩分を含む砂が砂嵐となって周辺の農地を荒らした。また塩分の上昇のため河川の水や地下水が飲料水にならない地域も発生し、綿花に散布された農薬がアラル海の水質を悪化させるなど、周辺地域は荒廃が進み、一部の町では犯罪が多発するようになっていった。
このままでは二〇一〇年頃には、アラル海は消滅してしまうかもしれないという専門家の予測もあるのだ。


東京書籍
「雑学大全」
JLogosID : 14820744


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編集: 東京雑学研究会
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発売日: 2004年8月
ISBN: 978-4487799473