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マラソン①
【東京雑学研究会編】

雑学大全趣味 > スポーツ

陸上競技の華と言われるマラソン。この競技の歴史には、いくつかの名勝負や名場面があった。その一つは、一九六〇(昭和三五)年のローマオリンピックで、裸足でみごと走りぬき、金メダルに輝いたエチオピアのアベベ・ビキラ選手であろう。孤独で厳かな走者の姿に多くの人が感動した。その後、世界陸上東京大会では、日本男子に金メダル、女子に銀メダルがもたらされ、オリンピックマラソンへの期待は次第に大きくなった。そしてついに、二〇〇〇(平成一二)年のシドニーオリンピックでは、高橋尚子選手が日本人女子選手ではじめて金メダルに輝いた。
マラソンは、古代ギリシアのマラトンの戦いの故事に則り、行われていることはよく知られている。戦場のマラトンの丘からペルシア軍との戦いの勝利を伝えるために、伝令のフェイディピデスがアテネの城門まで走り続け、伝え終わるや否や力尽きて絶命したという。
ところで、選手たちの駆け抜けるこの長い距離は、どのように定められたのであろう。コースの距離が現在のように四二・一九五キロに定まるまでには、同じく長い紆余曲折があった。もちろんフェイディピデスが走った距離ではない。
一九〇八年のロンドオリンピックマラソンコースを設定するとき、ウィンザー城から競技場までが最適と思われたが、さて、ウィンザー城のどこをスタート地点にするかが問題になった。時の国王エドワード七世の意見で、バルコニーから見える庭園にするとか、王女たちが見物できる窓の傍がいいとか議論百出。また、ゴールの位置についても、今では真偽の定かでない諸説が紛々。とにかくコースが作られ、後日測定した結果、二六マイル三八五ヤードすなわち四二・一九五キロあったというのだ。
一九二〇年の第七回オリンピックまでは、四〇キロ前後ならよいと、アバウトに実施してきたが、陸上競技の内容の充実とともにマラソンも規格統一が求められ、国際陸連定例総会で侃々諤々の議論の結果、四二・一九五キロに決定。一九二四年のパリオリンピックから実施された。現在ではコースは、レース直前に三台の自転車で、正確に測量されている。


東京書籍
「雑学大全」
JLogosID : 14820744


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