ナポレオン
【東京雑学研究会編】
【雑学大全】 ヒトの不思議 > 人物
ナポレオンは、社交界の花だった六歳年上の未亡人ジョゼフィーヌにすっかり惚れこみ、口説き落として一七九六年に結婚した。
ナポレオンが帝位に就くと同時に、ジョゼフィーヌも皇后となり、アツアツぶりを周囲に見せつけた二人だったが、一八〇九年には離婚してしまう。
その原因は、二人とも浮気癖がおさまらなかったためとも、後継ぎとなる子どもができなかったためともいわれているが、もう一つの原因として噂の種になったのが、二人の香りの好みである。
二人とも、一か月に何十本もの香水を使うほどの香水好きだった。ここまでなら、共通の嗜好ということで、むしろ夫婦仲にはプラスに働きそうだ。
ところが、二人の香りの好みは、全く違っていたのである。
ナポレオンが愛用していたのは、ジンチョウゲから採る沈香など、植物性の軽い香り。
とりわけ好んだ「ローズ・マリー」というオーデコロンも、あっさりした香りだった。
ところが、ジョゼフィーヌが愛用したのは、動物性の麝香の香り。別名ムスクというこの香りは、中央アジアに生息するジャコウジカの雄の包皮腺(香嚢)からとる濃厚なもので、異性を引きつける効果があるといわれている。
しかし、ただでさえ濃厚な麝香の香水や香油を、好き放題に使うものだから、ジョゼフィーヌの部屋は香りでむせ返るほどだったという。
好みに合わない香りを嫌というほど嗅がされて、ナポレオンは何度も妻に文句を言っていたという。
ナポレオンは、その後オーストリア皇女のマリ・ルイーズと再婚するが、ジョゼフィーヌが死去するまで、二人は文通を続けていた。近くにいて趣味に合わない香水さえ嗅がされなければ、好ましい相手だったのかもしれない。
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