トルコ
【東京雑学研究会編】
【雑学大全】 地理 > 国・島・都市
日本とトルコは歴史的に見ても極めて良好な関係にある。日露戦争でトルコの宿敵であったロシアに勝利したこと、また、驚異的な経済発展をしたアジアの国日本への憧憬の念などが、トルコの親日感情の背景にあると言われている。
日本からトルコへの渡航者が、最近数年間急増している。二〇〇二(平成一四)年には九万人を突破した。サッカーのワールドカップ以来、日本におけるトルコの知名度はいっそう高まり、年間の日本人観光客数は一〇万人に達すると言われている。
トルコの首都アンカラ以上に日本人観光客に人気が高いのは、共和国最大の商業文化都市イスタンブールである。トルコ観光の目玉だ。というのも、この都市が位置する特別な自然条件と歴史と文化が魅力なのだ。また、イスタンブールのグランドバザールの活気に見られるように、トルコ国民は異民族・異文化とのせめぎあいの中で鍛えられた強靭なエネルギーを持っている。それも魅力なのだ。
ボスポラス海峡をはさんでアジアとヨーロッパにまたがるイスタンブールに象徴されるように、トルコという国家自体がどちらにもまたがって存在している。百科事典や年鑑には、トルコは中東・イスラム文化圏の国と区分されている。確かにトルコ人は中央アジアに起源を持ち、一一世紀に小アジアに侵出し、しかも、人口の九八%がイスラム教徒だ。しかし、大半のトルコ人は、自分たちはヨーロッパ人で、自国は中東に最も近いヨーロッパであると信じている。
それは一九二三年にオスマン帝国からトルコ共和国へと生まれ変わった、現代トルコの成り立ちによるところが大きい。初代大統領であった「トルコの父」ケマル・アタチュルクは、独立戦争の英雄で、多くの改革を断行し、国家機構の近代化を図った。彼はイスラムの伝統と闘い、政教を分離し、民主国家をつくり上げた。それ以来、トルコはヨーロッパ寄りの外交を展開し、将来の繁栄を目指してきた。目下、EU加盟交渉が大きな外交課題となっている。
しかし、トルコは流動する世界情勢を見据えて、ヨーロッパ、アジア、アメリカ、いや、全世界に目を向けた外交を展開しつつあるように見える。
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