土俵①
【東京雑学研究会編】
【雑学大全】 趣味 > スポーツ
長い伝統と厳格な格式を持つ日本の国技、相撲。時代の流れとともに女性の横綱審議委員が生まれるなど、角界にも少しずつ変化が見られるようになっているが、まだ、土俵に女性が足を踏み入れることには反対の声が根強い。
これほどに伝統と格式と神聖さにこだわる大相撲の土俵はどのように築かれるのであろう? またどのような質の土が選ばれ、どこから持ってくるのだろうか?
力士が技を戦わせる土俵を築くのは、熟練した呼び出しさんたちで、本場所ごとに二〇人がかりで三日をかけて、丹念に土を突き固めてつくられる。本拠地である東京・両国の新しい国技館は、多目的に使用できるようにつくられているので、本場所以外のときは、土俵は地下にしまいこまれ、鉄骨組みのフロアに覆われるようになっている。その間も土は乾燥するので、東京本場所が近づくと、土俵の上部三分の一の土を削って水をかけ、一晩置いてその上から新しい土を置き、土俵をつくり直すのである。ちなみに、土俵は土だけでつくられている。
その新しい土は埼玉県荒川沿岸の荒木田の壁土が最適とされているが、最近は不足気味なので、茨城県つくば市の近くで採れる壁土が使われるようになった。土俵には適度な湿り気と粘りがあり、ある程度の硬さのある土が必要なのである。
規定によると、土俵は直径四・五五メートル、高さ五四センチ、一辺六・七〇メートルの長さがあり、勾配の急な形につくられる。
東京場所の土俵は、つくり直すだけで約八トンの土が必要という。土俵は「たこ」「たたき」「かち」などの道具でつくられるが、仕上げにはビールビンが使われるそうだ。不十分な築き方をすると、力士が親指を突っ込んで怪我をするので、コンクリートに近い強度が必要だそうだ。
地方場所の土はどうしても質が落ちる。ましてや海外巡業になると、適した土を見つけるのがなかなか難しい。限られた条件の中で大相撲興行を成功させるために働く裏方さんの努力は大変なものといえる。
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