葬式①
【東京雑学研究会編】
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葬式から帰ってきたり、火葬場や墓地から戻ってきたりした人が自宅に入る際に、玄関で塩をまくという風習がある。さて、これにはどんな意味があるのだろうか。
塩は日本人にとっては、精神的・信仰的生活の中で多様な機能を持ってきた。もともと塩には、穢れをはらい、心身を清めるという意味がある。古代から、塩は多くの人に清いものとしてあつかわれてきた。「清めの塩」といわれるゆえんである。
塩の「威厳」を証明する逸話として、次のようなものがある。
海から山間部へ塩を運ぶルートが確立されていない地域には、かつて塩売と呼ばれる行商的な小売商人がいた。塩を運搬したり、売り歩いたりする人に対しては、彼らが呪術的な霊力を持つ者として畏敬し、機嫌をそこねないよう気を使ったという。ややオカルトっぽい話だが、塩がそれだけ庶民にとってかけがえのないものだった事実を物語っている。
中には塩売の人と仮の親子関係を結ぶと丈夫に育つという習慣もあったという。これは塩が「穢れ」をはらうという、日本人特有の呪術的観念がひそんでいると考えられる。海があらゆる汚いものを浄化してくれる、人間に多くの幸を与えるということのシンボルを、かつての日本人が塩に求めたためといえよう。海に入り、身を清めることを「みそぎ」とする風習も、こういった考え方から来ているようだ。
ただし、「清めの塩」は仏教ではもちいられない。仏教では人の死を「穢れ」と考えていないからである。中には葬式において「清めの塩」をいっさい禁止する宗派や住職もあるという。これを称して「塩論争」というが、それほど葬式の際に塩をまく風習が根づいていることの裏返しなのであろう。
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