赤飯
【東京雑学研究会編】
【雑学大全】 生活 > 食べ物
お祝いの日の定番といえばお赤飯とお頭つきの鯛。
お赤飯は「おこわ」とも呼ばれ、もち米にアズキやササゲを混ぜ、セイロで蒸して作る。お赤飯をお祝いで食べるのは弥生時代から続く習慣だ。
米の栽培が始まる弥生時代の主食はヒエやアワのお粥。中国から米が伝わっても、日本人はしばらくの間、米もお粥にして食べていたが、やがてセイロが伝わると米を蒸して食べるようになった。民俗学では、蒸して食べる方が、炊いて食べるより早くから普及していたといわれている。それでも米は貴重品だから、病人が出たときやお祝いのときだけ食べ、普通の日はヒエやアワを食べていたのだ。
鎌倉時代末期の『厨房類記』には、宮中では三月三日、五月五日、九月九日の節句の膳に赤飯を加えるのが恒例だと書かれている。
今では普段は白い米を食べて、お祝いの日だけ赤飯を炊いて食べている。このことについては二つの説がある。
一つは民俗学者・柳田国男の説で、白い米にわざとアズキなどを混ぜて赤い色をつけるのは、白い米よりも赤い米の方が歴史が古いため、祭りや儀式の供え物や食べ物として伝えられているから、というもの。実際、東南アジアの稲作圏には、赤い米を儀式用にする民族や種族がいるし、赤い米を常食にしているところもある。
もう一つは、文化人類学者や民俗学者の間で言われている説で、焼き畑農業と輪作との関係から米を赤くする習慣を説明している。
焼き畑農業をしている地域では必ず輪作のサイクルにアズキが組み込まれている。つまりアズキは焼き畑農耕文化で重要な作物だったため、米にアズキを混ぜて食用にした。赤飯はその習慣の応用だといわれているのだ。
また赤い色は日本では、燃える太陽や火のイメージにつながる、縁起のいい色だったからだという説もある。
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