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新聞の休刊日
【東京雑学研究会編】

雑学大全社会 > 社会

ほとんどの新聞が月に一回いっせいに休刊にすると、家庭も事業所も不便だと思えるのだが、どうしてそうなっているのだろう。かつて、サッカーW杯で日本中が沸きあがったとき、日本対アルゼンチン戦があった日の翌日、各紙休刊で、スポーツ新聞駅売りのみになってしまったときは、かなりの読者ががっかりというより怒りすら覚えたそうだ
現在、日本新聞協会は、休刊日をいつにするかについては、一切関知していないという。それもそのはず、一九九一(平成三)年三月に、「カルテル行為の疑いあり」として、行政指導を受けたことがあるので、休刊日については、各社の経営判断に任せていて、同一の日になっているのかどうかもわからないというのが、公式の見解だ。
しかし、各社独自の判断にしては、休刊日がほとんど一致している。協会による休刊日の取り決めはなくなっても、次のような事情は変わらないのである
新聞販売店では、仕事の忙しい月末や月はじめを避け、基本的に第二週に休日を設定している。各販売店では、仕事の状況もほとんど同じである上に、二種以上の新聞を販売する複合店あるいはすべての新聞を売る合売店の事情を考えると、全国で五〇万人近い販売店の従業員の休日は、ほとんど同じ日に確保するしかないという結果になるようである
ただし、参議院選挙とか衆議院補欠選挙といった大きな出来事がある場合には、休刊日は変更される。編集局、販売局など関連の部局が相談し、最終的に役員会の承認を得て、決定されるとのこと。
販売の現場は、熾烈な競争の毎日である。過剰とも思えるような景品をつけては、読者を獲得しようと必死の経営をしている。他紙が販売されている日に、休みを取って不利になるという状況を避けながら、自店の休日を確保するには、横並びで同じ日に休刊するということにならざるを得ない。これが、新聞休刊日決定の裏側に隠された、厳しい現実なのである


東京書籍
「雑学大全」
JLogosID : 14820744


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編集: 東京雑学研究会
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ISBN: 978-4487799473