再生紙
【東京雑学研究会編】
【雑学大全】 生活 > モノ
紙の再生技術は進み、現在の古紙回収率は二〇〇二(平成一四)年で五九・六%にまで上がっている。中国での紙の使用量の増加から古紙相場が高騰し、ゴミ捨て場の古紙を持ち去る泥棒が頻発しているというニュースもあった。
B4版のコピー用紙一万枚は、原木を使うと直径二〇センチ、高さ一五メートルの木一本に相当する。年間一〇〇〇万枚で一〇〇〇本、一ヘクタールの森林をそっくり伐採する計算になるから、エコロジーの面でもリサイクル率向上は急務だろう。
現在では新聞紙とチラシを分別しなくてもよくなった。また、真っ白な再生紙も多くなっている。これだけ種類も多く、多様に印刷された古紙から、どうやって再生紙を作るのだろうか。
紙は繊維を水の中でばらばらにした状態で漉き、薄く平らにして乾燥させて作る。繊維の正体は、木材などから作られるパルプ(植物繊維)だ。
パルプの成分は、グルコースからなる多糖類の一種でデンプンに似た「セルロース」で、デンプン同様に互いにくっつく力がある。その力は水に弱く濡れるとばらばらになってしまうが、逆にいえば、ばらばらになったパルプをもう一度漉き直せば再び紙にできるわけだ。
まず、集められた古紙は大型のミキサーに入れられ、水や薬品につけて加熱、攪拌される。すると紙はどろどろになり、同時にインクもはがれていく。
インクをはがすのは脱墨剤という薬品だ。原理は洗濯用の洗剤と同じ。水になじむ成分と油になじむ成分からなり、後者がインクにくっついて紙から引きはがす。
紙から離れたインクを集めるのは細かい空気の泡だ。泡にインクがくっついて浮かんできたところを、へらでかき集めたり空気で吹いたりして取り除く。
それからスクリーンという機械で、プラスチックや金属などの異物を取り去る。最後にウォッシャーで汚れを洗い落とし、漂白すればきれいな再生パルプのでき上がりだ。
この再生パルプを、新品のバージンパルプなどほかのパルプと混ぜ合わせて再生紙にする。
ただし、パルプが傷むから何度でも再生できるというわけではなく、三回くらいが限度だという。
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【この辞典の書籍版説明】
「雑学大全」東京雑学研究会 |
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