紅葉
【東京雑学研究会編】
【雑学大全】 生物の不思議 > 植物
秋の澄みきった青空を背景に、山々を彩る紅葉は、どうしてあんなに鮮やかな赤い色に染まるのだろう。
薄く広い葉の落葉樹が、もし冬も葉をつけたままだったら、葉から水分が発散されるばかりで、木そのものが枯れてしまうかもしれない。そこで木々は、気温が下がって、根の働きも弱った頃に、老廃物とともに葉を落とすのである。しかし、無理に落とすと、人間がケガをしたときと同じで、切り口から細菌が入りやすい。
そこで、葉のつけ根に「離層」という細胞の層を作って、葉を切り離す準備をする。離層ができると、葉から茎への養分の移動ができなくなり、葉で合成されたデンプンは、葉にたまったまま糖に分解される。また、低温になると、クロロフィル(葉緑素)も老化していき、アミノ酸に分解される。
カエデなどの紅葉する植物では、この糖とアミノ酸から、アントシアニンという色素が合成される。アントシアニンは、赤い花に含まれている色素の仲間で、これによって葉も赤く染まるのである。
夏に晴れた日が続き、秋には急に冷え込んだ年の紅葉は、格別美しいといわれる。
これは、紅葉の鮮やかさは、いかに多くのデンプンが葉に蓄えられ、クロロフィルがいかに早く分解されたかにかかっているからである。晴れた日が続くと、光合成によってデンプンが多量に作られ、急に冷え込むと、葉緑素の分解が進むのである。
葉が赤くならず、茶色や黄色になる植物は、糖とアミノ酸があっても、アントシアニンが作られないのである。
葉が茶色になるクリやケヤキは、アントシアニンの代わりに、フロバフェンという茶色の色素を作る。
葉が黄色になるイチョウやカラマツは、新たに色素は作らない。あの黄色は、もとからあるカロチノイドという色素によるものだが、ふだんは葉緑素の緑が強いため、隠されている。葉緑素が分解されると、それまで目立たなかったカロチノイドが表面に出て、葉が黄色くなるのである。
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【この辞典の書籍版説明】
「雑学大全」東京雑学研究会 |
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