香水③
【東京雑学研究会編】
【雑学大全】 生活 > おしゃれ
世界の香水のベスト三の一つだといわれる、ゲランの「ミツコ」。いかにも日本人の女性を想像させる名前であるが、日本女性と何か関係があるのだろうか。
伝統と格調の高さを誇るフランスの香水の代表ブランド、ゲラン社は、一八二八年の創業以来、数々の天才調香師を生み出し、香りの王室と呼ばれるにふさわしい名香を発表し続けてきた。「ミツコ」は、ゲラン社の創始者の孫で、三代目社長のジャック・ゲランが調香し、一九一九年に発表した作品である。
そのネーミングのもとは、やはり日本の女性の名であった。ただし実在の女性ではなく、クロード・ファレルの小説『ラ・バタイユ(戦場)』のヒロイン、ミツコをモデルにしたものだと言われている。『ラ・バタイユ』は、日露戦争の日本海海戦を舞台に、日本の将官の妻ミツコと、イギリス軍人とのかなわぬ恋を描き、当時のフランスのベストセラーとなった小説で、映画にもなった名作。しとやかな中にも、エキゾティックな情熱を秘めたヒロインの姿に強くひかれたジャック・ゲランは、情熱的で女性らしい香りの香水を、自ら「ミツコ」と名づけたのだという。
「ミツコ」は、明治時代の日本女性のイメージから調香され、和装の正装にもよく似合う、神秘的な日本へのあこがれを香りにした雅やかで慎み深い印象。時代を超えて、今も世界中の女性たちに羨望され続けている名香である。
自社の製品はすべて、自社で調香することを伝統としてきたゲラン家はまた、すぐれた調香師の家系でもあった。ジャック・ゲランは後に、『星の王子さま』の著者であり、パイロットとして夜間飛行に成功したサン・テグジュペリに敬意を表し、冒険心に富んだ香りとして名高い「夜間飛行」を生み出している。
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