恐竜①
【東京雑学研究会編】
【雑学大全】 生物の不思議 > 動物
草食恐竜の多くはとても長い首を持っている。ディプロドクスの仲間のセイズモサウルスは体長五〇メートルのうち約半分は首だったらしい。
でも、こんなに首が長くて不自由でなかったのだろうか?
例えば首の長い哺乳類として有名なキリン。キリンは首が長いため、普通の哺乳類のように呼吸していると、吐いた息が完全に外に出る前に新しい空気を吸い込むことになるのだ。だからキリンは「過呼吸」という、深く早い呼吸をくり返す方法で酸欠を避けている。
ではキリンの何倍も長い首を持っていた草食恐竜たちはどうやって酸欠を免れていたのだろう。
キリンと同じように過呼吸をしていたとしても、首が長い分、大変な勢いで呼吸をくり返さなければならないわけだが、恐竜には哺乳類のような横隔膜がないため腹式呼吸ができない。
また、哺乳類は口と鼻が二次口蓋で仕切られているため、口いっぱいに食べ物を頬張っても鼻で呼吸できる。けれども爬虫類は口と鼻が一体になっているため、口に食べ物を含むと呼吸ができなくなってしまうのだ。
一説では、草食恐竜は変温動物で、代謝率はそれほど高くないため、酸素吸入の割合も脳への血液供給の量も、哺乳類ほど高くなくても生存できたといわれている。だから長い首のためにゆっくりとしか呼吸できなくても大丈夫だったらしい。
それに哺乳類の場合、大脳の新皮質に常に酸素を供給していなければならないが、爬虫類は新皮質を持っていないので、脳に送る酸素は哺乳類ほど多くなくてもよかったという説もある。
大型の草食恐竜は鳥類と同じように、気嚢という肺の前後につながる小さな空気袋の固まりを使って呼吸していたと考える研究者もいる。つまり吸い込んだ空気はいったん、肺の後部の気嚢に入る。肺にあった空気は前部の気嚢に移動して、後部の気嚢に溜め込まれていた新しい空気が肺の中に移動する、というしくみだというのだ。
いずれにしても巨大な恐竜たちは哺乳類とは全く異なったシステムで身体を維持していたようだ。
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