カトリック
【東京雑学研究会編】
【雑学大全】 社会 > 宗教
エイズの出現以降、避妊法の王様となってしまったコンドーム。手軽なうえ、避妊のためだけでなく、病気予防のために有効な手段として世界中で広く使用されている。
しかし、カトリックの間では、このコンドームが宗教的なタブーとされてしまっているのだ。
禁欲的なカトリックの教義では、「生んで増えて地に満ちる」ためのセックス以外は御法度。だから、コンドームを使って、子どもを作らないセックスをすることは許されないのだ。当然、ペッサリー、リング、ピルといった人為的な避妊もすべて禁止。
ただしカトリックの総本山・ローマ法皇庁では、オギノ式、基礎体温法、排卵予知法の3つの避妊法についてだけは認めているという。この三つは、女性が妊娠しやすい時期にはセックスをしない、という消極的な避妊方法だ。
このオギノ式、かつては世界中で支持された避妊方法だった。
オギノ式避妊法は一九二四(大正一三)年、日本の荻野久作によって発表された学説で、女性の排卵は生理周期の長い短いにかかわらず、生理前の一二~一六日に起こるとする説だ。つまり、この時期にセックスを避ければ妊娠の可能性はぐっと低下するというわけだ。
この説が世界中に知られるようになったのは一九三〇(昭和五)年にドイツの学術誌に発表されてからだ。オギノ式自体は避妊法ではないのだが、この論文を読んだオランダの産婦人科医・スムルデルが避妊法に活用することを思いついたのだ。
当時は第一次世界大戦の大恐慌が吹き荒れていた時代。経済状態がよくないところに子どもは増やせないから、オギノ式はカトリック教徒の間で歓迎されたのだ。
もちろん、教会側も最初はこの避妊法には渋い顔をしていたらしいが、「キリスト教の教義に触れない方法ならやむをえない」とオギノ式を認めることになった。
余談だが、荻野久作と同じような論文を同時期にチェコのクナウス教授も発表していたため、ヨーロッパでは「オギノ・クナウス説」と呼ばれているとか。
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