パーソナル・スペース
【東京雑学研究会編】
【雑学大全】 生活 > 健康
隣の人間と身体が接したりするような、混雑した電車やエレベーターの中では、確かに不快に感じることが多い。蒸し暑いわけでも、酸素不足でもないのに、なんとなく不快なものである。
あるいは、ガラガラにすいている電車で、ほかに席がたくさんあるというのに、すぐ隣に席を取る人がいたら、これもなんとなく居心地が悪い。誰でもこんな経験はあると思う。
これは、心理学用語で「パーソナル・スペース」と呼ばれる空間に、人が侵入してきたため。この空間は自分の身体の周囲にあって、ほかの人の侵入を拒む、いわば見えない「なわばり」というか「自我の延長」のような空間なのである。
この空間には大きさがある。それも一定の大きさではなく、その人の性別、年齢、性格、それに侵入してくる相手によって、大きく変わる空間なのだ。
例えば、一般に男性の方が女性よりパーソナル・スペースが大きいそうだ。つまり、男性の方がほかの人を近づけたがらないということになる。女性のパーソナル・スペースは、相手が男性のときには、同性のときより大きくなる。知らない男性は、まず警戒したくなるのが当然だ。
内向的な性格の人は、外交的な性格の人よりパーソナル・スペースが大きい。他人と話すのが苦手な、非社交的な人がこれに当たるのだろう。
子どもより大人の方が、パーソナル・スペースは大きい。子どもは無防備なのだ。このため簡単に知らない人について行ったりすることがある。
相手との関係でも、その大きさは変化する。恋人、親友、家族などに対しては、パーソナル・スペースは小さくなり、嫌いな人、気を使う人に対しては、大きくなることがわかっている。
人間はこんなバリアー空間をはりめぐらせて、生きているといえる。
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【この辞典の書籍版説明】
「雑学大全」東京雑学研究会 |
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