オスカー像
【東京雑学研究会編】
【雑学大全】 娯楽 > 映画
たかがアメリカ一国の、自分の国の映画に関する賞なのだが、世界中の映画人があこがれるというアカデミー賞。映画に関する賞としては、ほかにもカンヌやヴェネツィアで開催される国際的な映画祭での各賞があるのに、それ以上に世界の注目が集まる。
これは、映画祭のほうは、映画制作者がマーケットを対象に公開目的で買い付けてもらうことを狙ったお披露目ショーとしてスタートしたのに対し、アカデミー賞は公開ずみの映画に対して与えられる、完全なご褒美の賞だからだ。
ハリウッドの映画産業が世界的になるにつれ、各種のスキャンダルが報じられることも多くなった。アメリカ映画界をクリーンにし、映画の質を高める目的で、映画芸術科学アカデミーが設立され、賞を設けたのである。
その受賞者に贈られるのが、彫刻家ジョージ・スタンリー作の金メッキブロンズ像で、オスカー像と呼ばれているものの、オスカーはモデルになった人の名前ではない。
一九二七年に賞が制定されて、三一年にはすでにこの名が正式に認められることになるのだが、命名者が誰なのか諸説あって、はっきりしないのだ。
いちばんよく知られているのが、アカデミー事務局に勤務していた女性説。彼女がはじめてこの像を見たとき、「あら、私のオスカー叔父さんにそっくり」といったのをそばで聞いていたコラムニストのシドニー・スコルスキーが、自分のコラムに書いたことから定着したというもの。
ところが、そのスコルスキーは、命名者は自分だといっている。アカデミー賞の権威主義に反発を覚えて、ボードビルショーでコメディアンたちが、気取った男に対するネタに使っていた「オスカー、葉巻でもどうだい?」から借用して、アカデミーのトロフィに人間味を与えたくて使ったという主張だ。
さらに、女優のベティ・デイヴィスは、「私が、ブロンズ像の後ろ姿が、当時の夫だったハーモン・オスカー・ネルソンに似ているといったからだわ」と譲らない。
叔父さんであれ、元夫であれ、コメディアンにからかわれた伊達男であれ、本当のオスカー氏にとっては無関係の賞である。
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