王冠
【東京雑学研究会編】
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最近は缶ビールが主流といった感じもあるが、やはりビールはビンビール。王冠を開けるときの、あの「シュポン!」という音はたまらないものがある。
その王冠だが、抜いた後にでも一度ギザギザの数を確認してみて欲しい。どこのメーカーのビールを買っても、そのギザギザの数は二一のはずだからである。
なぜ二一なのか?
あんな数は適当でいいじゃない……なんて思ったら大間違い。二一という数はビンにもビールにも最適だから採用されているのである。
日本で王冠が採用されたのは一九〇〇(明治三三)年で、東京麦酒が最初。それまでビールビンはコルク栓で蓋がされていたのだが、一八九二(明治二五)年にアメリカ・ボルティモアのクラウンコルク&シール社の創始者であるウィリアム・ペインターが王冠を発明し、これが日本でも導入されたのだ。
一九〇八(明治四一)年には日本でも王冠が製造・販売され、日本製の王冠は当時の大日本麦酒(現・サッポロビール)が初めて採用している。
この王冠を作るときに最も頭を悩ませたのは、ビールの炭酸が抜けてしまわないように王冠で締め付けたいけれど、あまり締め付けすぎるとビンが壊れてしまうという点。しかも栓を開けるときに栓抜きがうまくひっかかるという条件も必要だ。
こうした条件をすべて満たすためにギザギザが取り入れられたのだが、問題はギザギザの数である。力学の常識からいえば、物をはさんで固定する場合、三点で支えるのが最も安定するはずなのだが、たったの三点では王冠が外れやすくなってしまうのである。
そこで三の倍数で、しっかり密封でき、しかもビンが壊れず、開けやすい数はいくつなのかがあれこれ試され、その結果落ち着いたのが二一という数字だったのだ。
特大ビンは二四のギザギザを持つ王冠が使われていたりするが、発明されて一一〇年以上経った今でも、王冠のギザギザは二一のまま。ビールの蓋として王冠が採用されている限り、この数も健在のようだ。
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