ネット選挙
【ねっとせんきょ】
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【概要】
インターネットを使った選挙活動や投票をさす。
2011年3月にエストニアが世界で初めて国政選挙の投票にインターネットを使用して注目されたが、日本を含め多くの国ではネットを使った選挙活動の意味合いで使われる。米大統領選では90年代からネットを活用。メールや広告でのアピール、献金集めが行われてきた。
日本では、公職選挙法の142条で公示・告示後は、ポスターやビラ、葉書など同法が定める「文書図画」だけの配布が認められているが、選挙戦中に候補者がブログを更新する等のネット使用は、その対象外として「違法」の扱いとなる。一般の有権者も対象となり、ブログで公に特定の候補者への支持呼びかけをすることなどは同法に抵触する。しかしソーシャルメディアの普及と相まって、候補者や有権者から「解禁」を求める動きが強まっており、12年衆院選のさなかも「ネット制限候補者不満」(12年12月9日・日本経済新聞)といった報道が目立ってきた。
【解説】
ネット選挙を巡っては、高齢者などネットを使わない人などとの格差(デジタルデバイド)や誹謗中傷の拡散などのデメリットも指摘される。これに対し、ジャーナリストの津田大介氏は12年総選挙直前に出版した「ウェブで政治を動かす!」の中で、有権者が政見放送や演説などに接する上で時間的・場所的制約がなくなる点や、候補者とのリアルタイムでの交流といったメリットを指摘。「民意の可視化」に効果があるとしている。
ネット活用のモデルとして度々取り上げられる米大統領選では、民主党のオバマ候補が08年にツイッターを駆使し、草の根の支持を広げ初当選したことで注目を集めた。
その後、フェイスブックやツイッターなどのソーシャルメディアが爆発的に普及。12年大統領選では、専門のスタッフがネット上に膨大に広がるビッグデータを戦略に活用するネットマーケティングの手法を導入し、有権者のネット世論を分析するまでになっている。
韓国も12年1月からネットを使った選挙戦が解禁、12月の大統領選での活用動向が注目されている。
一方、「日本の選挙は先進諸国と比べて10年以上遅れている」(津田氏、同書)のが実態だ。ネット利用制限の根拠となっている公職選挙法は1950年の制定後、抜本的に改正されておらず、この間、民主党や自民党の若手議員を中心に公選法改正を目指したり、自民党やみんなの党が解禁法案も提出したりしてきたが、実現には至っていない。テクノロジーの進化を貪欲に吸収する欧米と比べ、格差は開く一方だ。
ただ、選挙戦中も特定の候補者を支持する「選挙運動」と一線を画し、政策意見などをブログで表明する「政治活動」であれば、ネット利用は可能だ。12年衆院選でも、日本維新の会の橋下徹・代表代行がツイッターを駆使しているように、立候補していない党幹部や参院議員がぎりぎりのところで発信を行っている。
有権者サイドからも解禁を求める意見が強まっており、ジャーナリストの田原総一朗氏らが賛同人の「One Voice Campaign」がネット上で運動を展開。IT企業の経営者らで組織する新経済連盟(代表理事=三木谷浩史・楽天会長兼社長)も与野党に解禁を申し入れている。
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