呼吸を合わせる「シンクロナイズド雑談」
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【60歳からの人生を愉しむ心理学】 第5章 人生の後半戦は5つの「力 >
会話中に、相手がうなずいたらうなずく。相手が自分を見たら見返す。こうしたやりとり、同調行動のことを「シンクロニー」と言います。シンクロナイズド・スイミングの「シンクロ」(シンクロナイズの略)からきている心理学用語で、合わせるという意味。厳密には「インタラクショナル・シンクロニー(相互作用の同調行動)」あるいは「同調ダンス」と呼びます。
シンクロナイズド・スイミングで、音楽に合わせて足や手の角度、タイミングまでピタリと合わせて演じている様子は、とても美しく気持ちよく感じます。あのようなピタリと合った呼吸が会話をなめらかにすることがわかっています。
また、会話中、相手と同じしぐさをすると、マネをされたほうは相手に好意を持つという研究もあります。相手がティーカップに手を伸ばしたら、自分もティーカップを取ってお茶を飲む。そんなさりげないシンクロ行動が、無意識のうちに雑談の呼吸を合わせてくれるのです。
その逆で、妻が夫に話しかけても振り向かない、新聞に目を落としたまま、返事なのか何なのかよくわからない「ふあ」という発声をする、というのはダメで、まったくシンクロしていません。かく言う私もときどきやってしまうのですが、すると妻に「聞いてるの?」と確認されたりします。そういうときはすかさず「聞いてるよー」と言って妻を見るようにします。何か話しかけられたら「ん?」と言って見返す。たったそれだけでいいのです。
相手も「私が話しかけたことに対してちゃんと反応してくれた」とわかって、うれしいし、安心する。言葉での表現が苦手な人は、体で反応することを心がける。
「おはよう」と挨拶されて「今日もいい天気だね」と返すのが恥ずかしい人は、「うんうん」と笑顔で目を合わせたり、「おう」と手を挙げたりしてみる。それだけで十分伝わります。
しかし、声をかけて何も反応がなかったら、相手はだんだん声をかけなくなります。「言葉がなくても通じるようになった」とホッとしている場合ではありません。まったく通じなくなっている危険性もあるのです。
今日からでもぜひ、「シンクロナイズド雑談」を試してみてください。
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【この辞典の書籍版説明】
「60歳からの人生を愉しむ心理学」渋谷昌三(目白大学教授) |
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多くの人が60歳からの「人生の後半戦」「定年後」に対して、ネガティブなイメージを抱きがちです。本書では「老い」に無理に抵抗することなく、「豊かに」「軽やかに」「上手に」愉しみながら年を重ねていくコツを心理学的なアプローチを中心に紹介します。 |
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60歳からの人生を愉しむ心理学[link] |